2017年に神奈川県座間市のアパートで発生した9人殺害事件の犯人、白石隆浩死刑囚に対し、2025年6月27日、刑が執行されました。同日、鈴木馨祐法務大臣が明らかにしました。この事件は社会に大きな衝撃を与えました。
座間9人殺害事件の現場となった神奈川県座間市のアパート外観
筆者は、この事件の公判前に白石隆浩死刑囚と面会する機会を持ち、その後の裁判も継続して傍聴してきました。しかし、東京地裁立川支部で死刑判決が言い渡された後は、面会が叶わなくなりました。特に筆者が深く関心を寄せたのは、白石死刑囚がTwitter(現在のX)を通じて接触した人々の中に、最終的に殺害されることなく済んだ相手も存在していたという点です。
白石隆浩死刑囚の刑が執行された東京拘置所
過去の経歴とSNSの利用
事件発生以前、白石死刑囚は女性を風俗店に斡旋する、いわゆる「スカウト」として活動していました。2017年2月には、有害業務の職業紹介を行ったとして職業安定法違反の容疑で逮捕され、同年5月には執行猶予付きの有罪判決を受けています。
保釈された後、彼は以前スカウト活動で女性とのやり取りに利用していたTwitterに、新たなアカウントを複数開設しました。これらのアカウントを通じて、自殺をほのめかすような書き込みをしている女性たちに「一緒に死のう」といったメッセージを送信し、巧みに自宅アパートへ誘い込んで犯行に及んでいました。
事件に使用したTwitterアカウント詳細
白石死刑囚が犯行に使用したとされるTwitterアカウントは、報道の「死にたい」と「首吊り士」含め計5つであると、筆者との面会時に彼自身が説明しました。「『_』『sleep』『さみしい』『死にたい』『首吊り士』として、日常生活の雑多なつぶやき、単に死にたい願望を投稿するもの、あるいは自殺に関する情報交換や幇助を示唆するような投稿など、目的別に使い分けていた。」
その中で最も多くのユーザーと繋がっていたのは「死にたい」アカウントで、筆者が独自に入手した情報によれば、このアカウントを通じて24人ものユーザーとメッセージのやり取りを行っていました。一方、「首吊り士」アカウントとのやり取りは5人にとどまっていました。
スカウト時代のアカウントと現在の噂
スカウト時代、白石死刑囚はマメにTwitterを運用し、多種多様な女性と接点を築きました。現在噂されるアカウントについて彼は「スカウト時代は10個あったが、逮捕時警察同意で全て削除したため、話題のアカウントは私のものではない」と否定。「当時のスカウト対象女性は事件と無関係」とも強調しました。
今回の刑執行により、社会に衝撃を与えた座間9人殺害事件は一つの区切りを迎えました。オンライン上の行動と現実の犯罪の関連性は、現代社会の課題を浮き彫りにしています。