夏本番を迎え、室温を下げる家電への需要が高まる中、「冷風サーキュレーター」を巡る偽広告詐欺の被害報告が相次いでいます。特にSNS上で目にする機会が多いとされ、多くの消費者が誤解して商品を購入しています。
問題の広告は、SNSフィードや様々なウェブサイトに表示されており、サーキュレーターの強力な冷却性能を過剰にアピールしています。白い煙が勢いよく吹き出す映像で、瞬時に室温を下げられるかのような印象を与えています。
広告内では、実在する有名企業と大学が共同開発したと謳い、「1秒で室温を20度下げる」といった驚異的な効果を提示しています。こうした虚偽の情報に加え、ネット通販ページには大手家電量販店やグッドデザイン賞、省エネ大賞といった信頼性の高いロゴマークが無断で使用され、製品が省エネで高性能であるかのように装われています。
偽のサーキュレーター広告に表示された誇大表現やロゴ
被害者の中には、「インスタやフェイスブックなど、あらゆるサイトで広告を見た」「アイリスさんの商品なら大丈夫だろうと思った」と、日常的に目にする広告や企業名を信じて購入を決めた人が多くいます。価格も1台6380円、2台で8990円と手頃に設定されていることも、購入の決め手となっているようです。
しかし、実際に商品が届くと、広告で見たものとは全く異なる低品質なものが送られてくるといいます。「『え?』という感じ。小さなおもちゃのような箱に入っていた」「全く風を感じない。うちわであおいでるくらいの風力しかない」など、広告の強い風量とはかけ離れた製品だったという報告が多数寄せられています。
共同開発を謳われ、無断で社名を使われたアイリスオーヤマに取材したところ、「商品開発の事実は一切ありません」と、この製品への関与を明確に否定しました。広告には他にも複数の企業や団体名が記載されており、それら全てについても現在、関連性の有無が調査されています。
この種のネット通販詐欺は巧妙化しており、実在する企業や団体の名前、権威ある賞のロゴなどを不正に利用することで、消費者を信用させようとします。特に季節商品は需要が高まるため、このような偽広告が出回りやすくなります。SNSなどで見慣れない広告や、あまりに好条件すぎる製品については、安易に信用せず、公式サイトや信頼できる情報源で確認することが重要です。被害に遭わないための注意が必要です。