「レシピ通り」では伝わらない? 鶏もも肉を劇的においしくする秘訣

「レシピ通りに作ったはずなのに、なぜか期待通りにいかない…」。そんな料理の悩みは、多くの方が経験されているのではないでしょうか。実は、市販のレシピ本には、料理上級者なら「感覚でわかる」と省略されがちな、しかし味を左右する重要な「コツ」が隠されていることがあります。書籍『レシピ未満のおいしい食べ方』(料理研究家・管理栄養士 藤井恵 監修)では、これまで語られなかった、料理を格段においしくする「レシピ未満の秘訣」を分かりやすく解説しています。本記事では、その中から特に人気の高い「鶏もも肉」を簡単かつ驚くほど美味しく仕上げるための具体的なポイントをご紹介します。

鶏もも肉を最高に美味しく焼く秘訣

鶏もも肉は家庭料理の定番ですが、その美味しさを最大限に引き出すにはいくつかのコツがあります。特に「皮をパリッと、身をジューシーに」仕上げるための秘訣は、知っていると知らないとでは大違いです。

塩の浸透と量の重要性

牛肉のような塊肉と異なり、鶏もも肉は部位そのものであり、断面が少ないため、ただ塩を振るだけでは味が染み込みにくいのが特徴です。肌に化粧水をなじませるように、塩をしっかりと肉全体にすり込むことが重要です。塩の量は、肉の重さに対して1%が黄金比。このひと手間で、肉本来の旨味が引き立ちます。

下準備で差をつける

焼く30分前には冷蔵庫から取り出し、常温に戻しておくことで、均一に火が通りやすくなります。さらに、厚みのある部分には筋の膜を切って開き、余分な黄色い脂があれば取り除いておくと、仕上がりが格段に良くなります。鶏もも肉全体に塩と少量の黒こしょうをすり込み、準備は完了です。

「皮パリ」を実現する調理のコツ

フライパンにオリーブオイルとにんにくの薄切りを入れ、弱火でじっくりと香りを引き出します。香りが立ったら強めの中火にし、いよいよ鶏もも肉を皮目から投入します。ここで最も大切なのが、へらで上から押しつけるか、重石をのせること。こうすることで、皮がフライパンに均一に密着し、香ばしくカリッとした食感に焼き上がります。皮がこんがりと焼けたら裏返し、皮目を焼いた時間の半分程度の時間、中火で焼けば完成です。

にんにくの扱い方

にんにくは焦げ付きやすいため、肉をフライパンに入れたらすぐに肉の上にのせておくと良いでしょう。これにより、にんにくの香りを肉に移しつつ、焦げを防ぐことができます。

料理の常識を覆す「藤井恵流」の教え

プロの料理研究家である藤井恵先生が提唱するのは、単なるレシピの提供に留まらず、料理に対する根本的な考え方を変えるものです。

プロの「当たり前」とあなたの「難しい」

「レシピ通りに作ったのにうまくいかない」と感じる時、それはプロにとっては「当たり前」すぎて省略された調理法が、実は料理初心者にとっての「難しいポイント」であることに気づいていないのかもしれません。レシピを鵜呑みにせず、「もっと簡単にできる方法はないか?」と自分に合った作り方を探す視点が、料理上達への近道となります。

藤井恵レシピが「失敗しない」理由

藤井恵先生のレシピが多くの人に支持されるのは、単においしいだけでなく、誰もが失敗しづらく、時短になり、しかも必要な栄養素を効率的に摂れるように常に工夫されているからです。彼女の提唱する「レシピ未満の簡単なコツ」を知るだけで、驚くほど料理の腕が上がり、日々の食事がさらに豊かになるでしょう。

料理は、決して複雑である必要はありません。ちょっとした「秘訣」を知るだけで、毎日の食卓が格段に美味しく、そして楽しくなります。ぜひ今日から、これらの「レシピ未満」のコツを試して、あなたの料理を次のレベルへと引き上げてみてください。

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参考文献

  • 書籍『レシピ未満のおいしい食べ方』(監修:藤井恵)