60年経っても終わらないサリドマイド薬害 被害者が再び動き出したその理由とは #令和の人権


現代医療が受けられない

「もう生きてなんかいたくない」

昨年春、久しぶりに北海道へ帰ったとき、幼なじみがそう話すのを聞いて、増山さんは強いショックを受けた。幼なじみは「体のあちこちが痛い。でも、医師はわからないとしか言わない」とも話した。

高齢化したサリドマイド被害者には、腰や股関節、膝に激痛が走るようになったと訴える人が多い。幼い頃から60年以上、手の代わりに足や足指を使ってきたからだ。部屋で物を取るとき、洋服を着たり脱いだりするとき、自動販売機やタッチパネルを押すとき、不自然な姿勢で体を酷使した。しかし、本来、足は地面を歩くためのもので、顔や頭の高さまで持ち上げるようにはできていない。長年の無理がたたった結果ともいえるだろう。

増山さん自身も全身の痛みに襲われ、起き上がれなくなったことがある。首から背中までの激痛、呼吸をするのもやっとの状態で、何とか病院にたどり着き医師に診てもらった。だが、「よくわからない」と言われ、治療につながらずがっかりした。

15年前に乳がんが見つかったとき、医師から「命がけの手術になるがどうしますか」と問われたこともあった。精密検査の結果、骨の数が足りず、血管が細くもろいだけでなく、本数が少なく走行も違うことがわかったからだ。サリドマイド製剤の影響だ。



Source link