日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第72回(2025年7月8日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
● やなせたかしのリアル妻は、琴子(鳴海唯)っぽい?
のぶ(今田美桜)の提案で、新聞記事の穴埋めに嵩(北村匠海)が抜擢された。
「俺が行く」と緑川(嘉島陸)が飛び出して闇市で嵩を見つけて連れてきた。
夜11時過ぎに嵩がやってきて、挿絵を描き始める。締め切りは深夜0時。なぜか、カブラペンとかインクとかがちゃんと用意されていて(社内に図案課があるからか)、締め切り前に見事なイラストが完成。内容もわかりやすいと好評だ。
のぶは嵩の目につかない柱の影から心配そうに見つめていて、東海林(津田健次郎)になんで隠れているのか、と聞かれる。のぶはのぶなりに気を使って、嵩のプレッシャーにならないようにしていたのだ。
代わりにお茶を出して嵩をもてなすのは琴子(鳴海唯)。楚々として、透明感があって、気配りのある琴子。筆者が嵩だったら、琴子にぽーっとなってしまいそう。嵩のモデルのやなせたかしが新聞社で出会った妻・暢は琴子みたいな感じではないだろうかと想像した。
陸上をやっていて足が速く「いだてんおのぶ」と呼ばれていたそうで、残った写真だと、髪型もウェーブがかかっているものが多いのと、顔立ちもクールな雰囲気もある。やなせより一歳年上だった。大和撫子的に見えて、影ではちゃっかりしっかり者という個性も嵩は嫌いではないだろう。
のぶの場合、『アンパンマン』のドキンちゃんに寄せているように見え、やや幼く、愛嬌のある雰囲気だ。ただ、モデルの暢もドキンちゃんのモデルとされていて、活発でサバサバしていたとか。