【ワシントン=今井隆】米司法省と連邦捜査局(FBI)は7日、少女の人身取引罪などで起訴された米実業家ジェフリー・エプスタイン氏(勾留中の2019年に死亡)の捜査資料を巡り、同氏の「顧客リスト」は存在しないと発表した。
エプスタイン氏を巡っては、トランプ米大統領の岩盤支持層「MAGA(マガ)」の一部が、民主党の大物政治家やエリートらが顧客に含まれていたと主張し、「ディープステート(闇の政府)」による腐敗の象徴だとみなしてきた。一方、実業家イーロン・マスク氏は6月5日、トランプ氏の名前が「エプスタイン・ファイルにある」とXに投稿し、その後に削除した。
多くのトランプ氏支持者は政権がリストの公開に踏み切ると期待してきただけに、今回の発表には「隠蔽(いんぺい)だ」などと失望が広がっている。保守系インフルエンサーからは、リストの存在に言及していたパム・ボンディ司法長官の辞任を求める声もあがっている。
司法省とFBIは、エプスタイン氏の死因について、自殺との従来の見方を堅持した。MAGA内では、左派が口封じのために殺害したとの「陰謀論」がくすぶり続けている。