トランプ氏、ブラジルに「関税50%」表明 一連の新税率で最高水準


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 ブラジルは米国にとって貿易黒字国だ。トランプ氏は黒字国に対する関税率は低く抑えており、4月時点のブラジルへの相互関税の税率は最も低い部類の10%だった。新税率は5倍に跳ね上がっており、これまでに税率が判明した各国と比べても、引き上げ幅は突出している。

 背景には、トランプ氏が親しいブラジルのボルソナーロ前大統領がクーデターを企てた罪などで起訴されたことがある。トランプ氏はボルソナーロ氏を擁護してきており、高関税はボルソナーロ氏の訴追への不満の表れとみられる。

 トランプ氏はSNSに50%関税をブラジルのルラ大統領に通告する書簡の画像を投稿。冒頭に「米国を含む世界から尊敬されたボルソナーロ前大統領に対するブラジルの扱いは、国際的な恥だ。この裁判は行われるべきではない。魔女狩りは即刻やめるべきだ」と記した。

 書簡は高関税の理由として、「米国民の基本的な言論の自由への陰湿な攻撃」にも言及した。偽情報やヘイトスピーチなどの拡散を理由に、ブラジル最高裁が昨年、X(旧ツイッター)のサービス停止を一時命じたことなどを指しているとみられる。

 ブラジルのルラ大統領は9日、ボルソナーロ氏の裁判について、「ブラジルの司法機関の管轄事項であり、国家機関の独立性を損なういかなる干渉や脅迫にも服さない」などとする声明を出した。また、言論の自由をめぐる批判に対しては、「ブラジル社会は憎悪コンテンツ、人権や民主的自由に反する発言を拒否する。表現の自由は攻撃や暴力的な行為と混同されてはならない」と反論した。

 アルキミン副大統領兼開発・産業・貿易・サービス大臣は、ブラジルが米国にとって貿易黒字国であることに言及しながら、「ブラジルへの関税を引き上げる理由が見当たらない。この措置は不公平だ」と現地メディアに話した。(ワシントン=榊原謙、サンパウロ=河崎優子)

朝日新聞社



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