11月7日の衆院予算委員会で、高市早苗首相が台湾有事の最悪のケースを想定し「存立危機事態になり得る」と発言した。この発言が引き起こした波紋は、いまだ広がり続けている。日中関係の緊張は高まり、ついには沖縄(琉球)に関する中国側の挑発的な主張にまで発展している。
中国薛剣総領事の挑発的発言と日本国内の反応
高市首相の発言の翌日である8日、中国の薛剣・駐大阪総領事は自身のX(旧Twitter)に、高市首相の台湾有事に関する発言報道を引用し「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく切ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」と投稿した。この極めて挑発的な投稿は、多くの非難を浴びる事態となった。
日本国内では、立憲民主党の蓮舫議員がXで「外交には礼節が必要です」「他国の首脳への不当な発言は、信頼を損なう行為です」と薛剣総領事を非難。公明党の斉藤鉄夫代表も「中国総領事による一連の発言は、極めて遺憾です」「外交官としてあるまじき言動であり、党代表として強く抗議します」と投稿し、中国総領事の「暴言」に憤りを表明する声が相次いだ。
衆院予算委員会で発言する高市早苗首相
中国政府の公式抗議と渡航自粛要請
一方、中国側も高市首相の発言に強く反応している。中国外務省は14日に「孫衛東副部長が金杉憲治駐中日本大使を呼んだ」ことをホームページで公表。深夜にもかかわらず呼び出し抗議したことは、中国側の強い危機感を示している。
さらに中国外務省は、自国民に対して日本への渡航を当面の間自粛するよう呼びかける事態に発展した。この渡航自粛要請は、留学生やインバウンド需要への影響が懸念される一方で、日本国内からは異なる見方も出ている。元内閣官房参与で経済学者の高橋洋一氏は16日にXで、「中国が中国人の日本渡航自粛を言い出したのはラッキー」「オーバーツーリズム是正になるし、経営管理ビザ見直しや不動産規制もやり易くなる」「このまま来ないと不動産没収かもwww」と投稿。近年問題視されているオーバーツーリズムや中国人による不動産価格高騰などの問題解決の糸口になる可能性を示唆した。
G20での会談拒否と沖縄への波紋
在日中国人のビジネスにも影響が出かねない状況だが、中国側は一歩も引くつもりはないようだ。中国外交部報道官は、22〜23日に行われる南アフリカG20首脳会談の場で、李強首相が「日本の指導者と会う予定はない」と断言し、歩み寄りの可能性を否定した。
さらに、中国の強硬姿勢はなぜか沖縄にまで飛び火した。中国国営メディア『チャイナ・デイリー』が「琉球(沖縄)は日本ではない」という沖縄の学者のインタビューを報じたのだ。高市首相の発言及び中国の反応には日本国内からもさまざまな意見があるが、さすがにこの報道には「いいがかりにも程がある」「内政干渉してるのはどっちだよ。これこそ毅然と抗議するべき」「なんでこんなに堂々と、平然と嘘を吐けるんだ……」などと呆れ声が上がっている。
結論
高市首相の台湾有事に関する発言に端を発した今回の日中問題は、外交官による挑発、政府間の公式抗議、渡航自粛要請、さらには沖縄の領有権にまで及ぶ主張へとエスカレートしている。日中間の緊張が高まる中、日本が望む「対話による平和的解決」の実現は可能なのか、その道のりは依然として不透明だ。





