【ワシントン=池田慶太】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は12日、米国防総省が日本とオーストラリアの防衛当局に対し、台湾有事で米中が軍事衝突した際にどのような役割を担うか明確化するよう求めたと報じた。日豪両国に対し、防衛費の増額も求めたという。
報道によると、同省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー国防次官が過去数か月にわたり、日豪それぞれの当局者との協議で要請した。軍事力を強化する中国をにらみ、インド太平洋地域の同盟国に抑止力強化を促すことを目的としているという。
コルビー氏は、トランプ政権でインド太平洋の防衛戦略を主導する立場をとる。中国による台湾への武力行使を阻止するため、米国の軍事力をインド太平洋に集中させ、同盟国に関与強化を求めるのが持論だ。国防総省は既に、日本などアジアの同盟国の防衛支出を国内総生産(GDP)比で5%に引き上げる必要があるとの見解を示している。
一方で、米歴代政権は、伝統的に台湾有事で米国の軍事介入を明言しない「曖昧戦略」と呼ばれる政策を取ってきた。トランプ大統領も同盟国に防衛費増を要求しているが、台湾有事への対応は曖昧にしている。