ワシントン/ブリュッセル 7日 ロイター – トランプ米大統領は7日、一部の貿易相手国に対し、新たな関税措置を発動すると通知を開始した。特に、日本と韓国からの輸入品に対しては、8月1日から25%の関税を課す方針を表明した。
これまでに14通の書簡が送付されており、これらの書簡では交渉の可能性を示唆する一方で、もし相手国が報復関税を課す場合は、それに対して相応の対抗措置を取ると強く警告している。
トランプ大統領は自身のソーシャルメディア上でも、日本と韓国に宛てた関税に関する書簡の内容を公開した。その中で、「あなた方が何らかの理由で関税を引き上げる決定をした場合、その引き上げ率がどのようなものであれ、われわれが課す25%の関税に上乗せされることになる」と明言し、報復措置に対する厳しい姿勢を示した。
今回の発表された関税は、過去に発表された自動車、鉄鋼、アルミニウムなど特定の分野への関税とは別に課されるものであり、合算はされない。例えば、日本の自動車に対する関税は引き続き25%であり、今回の新たな25%が上乗せされて合計50%になることはないという説明がなされている。
今回の措置は、トランプ大統領が4月2日に公表した「相互関税」の枠組みに基づくもの。当初、多くの国に対して一律10%の基本税率を課し、さらに国・地域によって追加税率を上乗せするとしていたが、この上乗せ分の適用は7月9日まで一時停止されていた。
トランプ大統領は7日、通商交渉の期限を8月1日まで延長する大統領令に署名したことを明らかにした。
日本に対する新たな関税率は、4月の発表時に示唆されていた24%から25%に引き上げられた。韓国については、当初発表と同じ水準が維持されている。
アジア・ソサエティー政策研究所のウェンディ・カトラー副所長は、トランプ大統領が最も緊密な同盟国である日本と韓国に対して関税を引き上げたことに対し、「残念だ」と述べた。しかし同時に、依然として交渉による解決の余地は残されているとの見方を示し、「ゲームはまだ終わっていない」とコメントした。
!ロサンゼルスの港湾ターミナルに積まれた海上コンテナ。米国の貿易関税が国際物流に与える影響を示唆するイメージ。
今回の発表では、日本と韓国の他にも複数の国に対して新たな関税率が設定された。チュニジア、マレーシア、カザフスタンには25%、南アフリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナには30%、インドネシアには32%、セルビアとバングラデシュには35%、カンボジアとタイには36%、ラオスとミャンマーには40%の関税が課される。
この発表に対し、韓国政府は米国との交渉を強化する方針を表明した。韓国産業通商資源省は、8月1日から25%の関税が課されるトランプ大統領の計画を事実上の「相互関税」猶予期間の延長と受け止めていると述べた。同省は、「関税による不確実性を速やかに解消し、双方に利益のある結果を得るため、残りの期間で交渉を強化する」との立場を示した。
一方、在ワシントンの日本大使館からは、今回のトランプ大統領の発表に関する現時点での公式な反応は出ていない。
(ロイター通信による)