2025年5月、金融庁が公表した「NISA口座の利用状況に関する調査結果」によると、2025年3月末時点でNISA口座数は2647万口座、NISA買付額は59兆円に達し、その数は年々増加しています。この背景には、2024年1月に制度が大幅に拡充された新しいNISA(新NISA)への関心の高まりがあります。新NISAは、旧来の一般NISAとつみたてNISAが一本化され、より柔軟で長期的な資産形成を支援する仕組みとして注目されています。本記事では、新NISAの基本的な仕組みと、月額1万円および5万円を20年間積み立てた場合のシミュレーション(概要)を通じて、非課税投資の効果について解説します。
資産形成や積立投資を検討する人物のイメージ
新NISAとは?その基本的な仕組み
2024年1月に始まった新NISAは、個人の資産形成を支援するための非課税投資制度です。この制度の最大のメリットは、株式や投資信託から得られる運用益(売却益や配当・分配金など)が非課税になる点です。通常、これらの運用益には20.315%の税金がかかりますが、新NISA口座を通じて得た収益は全額が非課税となり、手元に残る金額が大きくなります。例えば、課税口座で10万円の運用益が出た場合、約2万円が税金として差し引かれますが、新NISAであれば10万円そのまま受け取ることができます。これは、長期にわたる資産形成において非常に大きな差となります。
新NISAでは、非課税で投資できる金額に上限が設けられています。年間の投資上限は最大360万円で、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの投資枠があります。
年間投資枠と非課税保有限度額
- つみたて投資枠: 年間投資枠は120万円まで。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象です。毎月コツコツ積み立てたい方に向いています。
- 成長投資枠: 年間投資枠は240万円まで。上場株式や投資信託などが対象で、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資できます。
新NISA全体での非課税保有限度額は1800万円です(うち成長投資枠は1200万円まで)。この保有限度額は、投資商品を売却すると、その売却した分の非課税枠を翌年以降に再利用できるという柔軟な仕組みになっています。これにより、ライフイベントに合わせて資産を活用しながら、再び非課税投資を行うことも可能です。
20年間積立投資のシミュレーション紹介
新NISAの非課税メリットを活かし、長期で積立投資を行った場合、資産がどのように増えるかに関心が集まっています。例えば、月額1万円と月額5万円をそれぞれ20年間継続して積み立てた場合、想定される利回り(例えば1%、3%、5%など)によって、将来の資産総額は大きく変わってきます。
具体的なシミュレーション結果を見ることで、積立額や運用期間、そして想定利回りが資産形成に与える影響をより明確に理解することができます。複利の効果により、特に長期投資では運用益が運用益を生み出すため、雪だるま式に資産が増加する可能性が高まります。非課税枠を有効活用することで、その効果を最大限に享受できます。
まとめ
金融庁のデータからも分かるように、NISA制度の利用は着実に広がっており、特に2024年に始まった新NISAは、その非課税メリットと柔軟な仕組みから、多くの人々の資産形成の選択肢となっています。年間最大360万円、生涯で1800万円までの非課税投資枠を活用することで、効率的に資産を増やす可能性が広がります。月々少額からでも長期にわたって積立投資を継続することが、将来の資産形成において重要な鍵となります。自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、新NISAを賢く活用していくことが推奨されます。