「モンスター就活生」とは?売り手市場で変化する新卒採用の現場

現在の日本において、新卒採用市場は学生優位の「売り手市場」が続いています。このような状況下で、一部の学生の言動が採用担当者の間で波紋を広げており、通称「モンスター就活生」と呼ばれる存在に注目が集まっています。彼らは率直すぎる質問を投げかけたり、従来の常識では考えられない言動をとったりすることがあると言われています。本記事では、最近SNSで話題になった具体的な事例を取り上げ、現代の新卒採用現場で起こっている変化と「モンスター就活生」の実態を探ります。

新卒採用市場の現状:学生優位の「売り手市場」が続く

株式会社リクルートワークス研究所が発表した「第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」によると、2025年卒の大卒有効求人倍率は1.75倍でした。これは、学生一人あたりに対して約1.75社の求人があることを示しており、企業が学生の確保に苦労している状況が浮き彫りになっています。少子化による学生数の減少と、企業の新卒採用意欲の高さが相まって、学生にとって有利な「売り手市場」が形成されています。このような市場環境が、就職活動における学生の姿勢や企業との関係性に変化をもたらしていると考えられます。

話題を呼んだ「火の玉ストレートな質問」

先日、X(旧Twitter)上である採用担当者の投稿が大きな話題となりました。その内容は、面接中の学生から投げかけられた質問に対する戸惑いを綴ったものです。投稿によれば、その学生は「創業119年やってて社員が50人くらいしかいないって結構不思議なんですけど、なんでもっと大きい会社にならなかったんですか?」と尋ねたというのです。採用担当者は、この質問を「火の玉ストレートの豪速球」と表現し、思わずたじろいだ様子でした。投稿主である老舗缶メーカー代表の石川貴也さんは、学生に悪意はなく純粋な疑問だったと補足しつつも、「確かに的は射てる部分もある」と反省の弁も述べています。

「モンスター就活生」の出現と現代の採用市場における学生と企業の対話「モンスター就活生」の出現と現代の採用市場における学生と企業の対話

この投稿には多くのコメントが寄せられ、学生に対する厳しい意見が目立ちました。「100年以上続いていること自体が素晴らしい」「会社を潰さずに事業を継続させる偉大さを理解していない」といった声が多く見られ、学生の質問が世間知らずであると指摘されています。

投稿主の石川さんによると、質問をした学生は事前に「失礼だったらすみません」と断りを入れる配慮はあったとのことです。石川さんは、その学生に対してマイナスな感情は抱いていませんが、会社の「痛いところを突かれた」と感じたのも事実だと語っています。経営の観点からは、必ずしも企業の規模が大きいことが最良ではないことを学生に理解して欲しかったそうですが、学生の視点から見ると率直な疑問として出てくることに気づかされ、学ぶところもあったと述べています。

拡大する「モンスター就活生」の定義と背景

話題となった学生のように、純粋な疑問から率直な質問をするケースがある一方で、最近では相手への配慮を欠いたまま「失礼な質問」を平然と投げかける学生もいると言われています。このような学生が「令和のモンスター就活生」と呼ばれ、採用担当者の間で問題視されることがあります。

なぜこのような学生が増えているのでしょうか。一つの要因としては、前述の「売り手市場」があります。企業が学生を求めるあまり、学生側がより強気な姿勢で臨む傾向が強まっている可能性があります。また、インターネットやSNSの普及により、企業や社会に対する情報が断片的に入ってくる一方で、働くことや企業経営の現実に対する深い理解が伴わないまま就職活動に臨む学生も少なくないのかもしれません。企業側は、このような学生の背景を理解し、丁寧な対話を通じて相互理解を深める努力がより一層求められています。

まとめ

現在の新卒採用市場は学生優位の「売り手市場」が続き、それに伴い就職活動における学生の言動にも変化が見られます。SNSで話題になった「率直すぎる質問」の事例は、一部の学生が企業に対して臆せず疑問を投げかける姿勢を持っていることを示しています。中には純粋な疑問からくるものもありますが、相手への配慮を欠いた言動は採用担当者を困惑させ、「モンスター就活生」という言葉が生まれる背景となっています。企業は、変化する学生の意識や行動様式を理解し、対話を通じて歩み寄ることが、採用活動を成功させる鍵となるでしょう。

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