R32 GT-R公道復活へ 学生たちの挑戦 岡山自動車大学校で名車再生

岡山自動車大学校の学生たちが、伝説的な名車として知られる日産「R32型スカイラインGT―R」の公道復活プロジェクトに取り組んでいます。1989年から1994年にかけて製造されたこのスポーツカーは、30年以上前のモデルながら、その卓越した走行性能と力強いフォルムで今なお熱狂的なファンを国内外に多く持ち、「名車」として語り継がれています。この大規模なレストアプロジェクトでは、学生たちがこれまでに学んだ専門知識と技術を最大限に生かし、長年の使用や保管で傷んだ車体やエンジン、内装などを丁寧に修復しています。今年9月の公道再デビューを目標に、学生たちの情熱と努力が注がれています。

プロジェクト開始の背景と車の状態

同大学校は2011年、実習用車両として走行距離11万キロのR32 GT-Rを約100万円で購入しました。主に日産の特殊な電子制御4WDシステムである「アテーサE-TS」などの高度な技術を学ぶための貴重な教材として活用されてきました。しかし、長期にわたる屋外保管の影響で車体の損傷(特に錆)が目立つようになり、エンジンのオイル漏れも深刻化していました。そこで、この名車を再び公道で走らせるための復活プロジェクトが2023年秋に立ち上がりました。

修復作業の詳細と部品の壁

このプロジェクトには、当時所属していた学生9人がレストアチームを結成し、週に1、2回のペースで修復作業を進めてきました。具体的な作業内容は、車体の錆穴を一つ一つ丁寧にふさいでから全体を再塗装したり、劣化が著しいエンジンルーム内のゴムホース類を交換したりするなど、多岐にわたります。作業で最大のネックとなったのは、交換部品の入手でした。1994年に生産が終了したR32 GT-Rは、多くの部品が既に廃番となっており、仮に再生産された純正パーツがあったとしても、当時の約20倍という高額な価格で手が出せない状況でした。学生たちはこの難題に対し、他車種の部品を加工したり、汎用部品を工夫して取り付けたりすることで、代替パーツを自作するという創造的な解決策を見出しました。

レストアされ、再塗装で輝きを取り戻した日産R32型スカイラインGT-Rの外観レストアされ、再塗装で輝きを取り戻した日産R32型スカイラインGT-Rの外観

内装のリフレッシュと公道走行への準備

外装やエンジンだけでなく、車内の状態も改善されました。カビが生えていたシートをはじめとする内装も専門的な技術でリフレッシュされ、美しい状態を取り戻しています。これらの広範囲にわたる修復を経て、2024年12月には無事に車検証とナンバープレートが再取得され、再び公道を走るための法的要件を満たしました。現在もプロジェクトは継続しており、在学生たちがエアコンホースの接続部修理や、より安全性を高めるためのブレーキシステムの追加整備など、最終的な仕上げ作業を進めています。

今後の活用と教育的意義

完成予定の今年9月以降、この復活したR32 GT-Rは、岡山自動車大学校の体験入学会に参加する高校生や保護者の送迎車両として利用される計画です。プロジェクトを見守る西江怜生教官は「R32 GT-Rは車好きなら誰もが思わず振り返ってしまうほどの特別な名車。学生たちの手で元気に公道を走る姿を、多くの人に見てもらえるのが楽しみです」と語ります。また、原田公徳校長は「レストアという、既存の部品が手に入りにくい状況での困難な作業を通して得た経験は、学生たちが将来プロの整備士として活躍する上で、きっと大きな糧となるはずです。日本を代表する名車の復活を教職員一同、心待ちにしています」と、プロジェクトの教育的な価値と成功への期待を述べました。

岡山自動車大学校の学生たちによる日産R32型スカイラインGT―Rの復活プロジェクトは、単なる車両の修復作業に留まらず、学生たちが実践的な技術、創造的な問題解決能力、そしてチームワークを育む貴重な学びの機会となっています。多くの困難を乗り越え、名車再生に向けた学生たちの情熱と努力は、この秋、再び公道を力強く駆け抜けるR32 GT-Rの姿として結実するでしょう。今後の活躍が注目されます。

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