人気アーティストのキタニタツヤさん(29)が7月13日、自身のX(旧ツイッター)でクリエイターと消費者の関係性について私見を述べた投稿が、音楽ファンを中心に大きな反響を呼び、論争に発展しています。特に、「純粋な消費者(そのコンテンツの作り手でない人)がチョビ悪意でクリエイターに大ダメージ与えてる様を見るの超凹む」という発言が注目を集めています。
自身のSNSでの発言
キタニタツヤさんは、自身のXアカウントで、「純粋な消費者(そのコンテンツの作り手でない人)がチョビ悪意でクリエイターに大ダメージ与えてる様を見るの超凹む」と投稿しました。この発言は、クリエイター側が感じる消費者からの攻撃や批判に対する率直な思いを表したものと見られます。わずか数時間でこの投稿は数百万件のインプレッションを獲得し、多くのユーザーによってリポストされるなど、その問題提起が広範囲に共有されました。
創作への理解を求める
続く投稿でキタニさんは、「全ての人は『物知りな批評家』より『ショボい(ショボくとも)作り手』であってほしい」と訴えました。これは、実際に何かを創作する経験を通じて、制作の難しさや努力を知ることで、クリエイターへの理解が深まるのではないか、という提案です。具体例として、イラスト・漫画制作アプリ「クリップスタジオペイントを3時間触って綺麗な線の引けなさを知るだけで、この世は…」と述べ、安易な批判の背景には創作過程への無理解がある可能性を示唆しました。
キタニタツヤさんは、東京大学文学部に在籍中からボーカロイドプロデューサーとして活動を開始し、2020年にソロデビュー。2023年にはアニメ「呪術廻戦 懐玉・玉折」オープニング主題歌『青のすみか』が大ヒットし、ストリーミング再生数1億回を突破、同年末にはNHK紅白歌合戦に初出場するなど、飛躍的な活躍を見せています。多方面への楽曲提供も行うなど、精力的に創作活動を続ける彼の発言だけに、その重みが受け止められています。
SNSでの発言で注目を集めるミュージシャン、キタニタツヤさんのポートレート
真意と反響
キタニさんはさらに、自身の「全ての人は作り手であってほしい」という考えが友人からの受け売りであることを明かしつつ、自身の「純粋消費者に対してうっすらアンチ」な本心を吐露しました。彼はこれを「私が性格の悪い可哀想な奴なだけで、作り手あるあるでは全くない」と述べ、あくまで個人的な見解であることを強調しました。過去に同様の極端な発言で孤立した経験にも触れています。
この一連の投稿に対し、SNS上では様々な反響が寄せられています。創作活動に携わる人々からは、「本当にその通り」「一度でも作ってみれば、どれだけ大変か分かる」「作る側の気持ちをもっと想像してほしい」といった共感や支持の声が多く見られました。
いっぽうで、キタニさんの発言に違和感や反発を覚える意見も少なくありませんでした。「トップミュージシャンが消費者を見下しているように聞こえる」「『悪意で攻撃するな』は理解できるが、『誰もが創作者たれ』という論理は飛躍しすぎ」「創作者でなくても敬意を持っている消費者はいる」「『作り手だけを特別扱いする必然性が不明』」「特権意識を感じる」など、消費者側の立場からの批判や疑問の声も上がっています。
キタニタツヤさんのSNSでの一連の発言は、クリエイターと消費者の間の根深い問題意識を浮き彫りにしました。彼の率直な言葉は多くの共感を呼んだ一方で、著名なアーティストであるがゆえに、その意図とは異なる様々な解釈を生み、広範な論争を巻き起こしています。クリエイティブ業界における作り手と受け手の関係性について、改めて考えさせられる出来事と言えるでしょう。
[Source] https://news.yahoo.co.jp/articles/c2c88e5a2739577520cd80e620e801d6629dad18