日本で大災害が起きるという科学的根拠のない「予言」の日付だった7月5日が過ぎ、香港の格安航空会社(LCC)グレーターベイ航空は、予言本「私が見た未来」をもじった「私が見た最低日本価格」と題した訪日キャンペーンを展開。成田、関西、仙台の各空港との往復チケットを350香港ドル(約6500円)で売り出した。訪日需要回復のきざしをうかがわせる。
■「予言観測隊」が安全確認
香港では女性漫画家、たつき諒さん(70)の「私が見た未来 完全版」の記述に加え、有名な風水師も日本での大地震を予言したため、訪日を控える動きが出ていた。グレーターベイ航空は香港と仙台、徳島を結ぶ便を減便したほか、9月からは徳島便を運休に切り替える予定で、米子便も運休を決めている。
今回のキャンペーンの広告には、「私が見た未来」の香港版「我所看見的未來」の表紙のパロディーとみられる「我所看見的最低日本價格」(私が見た最低日本価格)のキャッチコピーのほか、「日本はとても楽しい」「すぐにチケットを手に入れて日本へ飛ぼう」の文字が並んでいる。
同社のインスタグラムには、「予言観測隊」を名乗る香港の男女4人が7月5日に大阪の街を探索し、安全を確認する動画も投稿されている。香港の大手旅行会社も、7月5日を「流言終結日」と名付けて格安の日本ツアーを売り出した。
■予言の日は7月いっぱい
「私が見た未来 完全版」でたつきさんは、令和3(2021)年7月5日に見た予知夢の内容として「災難が起こるのは、2025年7月」「突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂(噴火)」「津波の高さは、東日本大震災の3倍はあろうかというほどの巨大な波」「夢を見た日が現実化する日ならば、次にくる大災難の日は『2025年7月5日』」などと記述していた。
5日には鹿児島県十島村の悪石島で震度5強の地震を観測するなどしたが、海底噴火や大津波は起きなかった。
しかし、たつきさんは6月に出版した自伝「天使の遺言」で、「7月5日」について「夢を見た日=何かが起きる日というわけではないのです」と軌道修正しており、予言の日は7月いっぱいということになる。
気象庁は「日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられます」と繰り返し注意喚起している。