「アジフライブーム」到来!人気のワケと「聖地」長崎県松浦市の挑戦

昔ながらの家庭料理として親しまれてきたアジフライが、今、外食産業や冷凍食品の分野で大きなブームを巻き起こしています。専門店が続々とオープンし、その人気は高まる一方。一体、この「アジフライブーム」の背景には何があるのでしょうか?

日本の水産業界を140年以上見つめ続ける業界誌『水産界』の内堀湧太さんは、「今、全国で“アジフライブーム”が起こっている」と語ります。

ブームを象徴する具体的な展開

このブームを示す例として、大手お弁当チェーン『ほっともっと』では、人気の「のり弁」の新ラインナップとして「アジフライのりタル弁当」(500円)を4月から投入。発売わずか1か月で人気ランキング2位に食い込みました。また、家庭向けの冷凍食品分野でも、ニッスイがレンジで約1分温めるだけで揚げたてに近い食感が味わえる「今日のおかず レンジでできるあじフライ」(2枚入・430円※オープン価格)を3月から発売し、手軽さが支持されています。

驚きの「アジフライ食べ放題」に行列

中でも特に注目を集めているのが、平日でも大行列ができる『三陽食堂 東京駅ヤエチカ店』(東京・八重洲)です。ここでは、揚げたてのアジフライがなんと1600円で食べ放題。ご飯とスープ、アジのたたきの小鉢が付く定食形式で、時間制限がないのも魅力です。

サイズ・厚み・サクサクの食感が特徴で、試食した者からは「身が締まって甘みがすごい」と高評価。開きではなく半身を使う「フィレタイプ」が肉厚でふっくら仕上がるとして、専門店で主流になりつつあります。
肉厚で人気を集めるアジフライの盛り合わせ肉厚で人気を集めるアジフライの盛り合わせ

気になる採算について、『三陽食堂』の吉村聡さんは、「自社が水産加工会社で、その直営店なんです。“長崎県松浦市のアジ”を安く安定的に手に入れられるので大丈夫」と明かしました。

ブームの「聖地」長崎県松浦市

ここで登場する「長崎県松浦市」こそが、業界誌『水産界』の内堀さんによると、「アジフライブームの火付け役」だといいます。日本一の水揚げ量を誇る松浦市が、鮮魚ブランド化に加え、2019年に「アジフライの聖地」として町おこしを開始。これが全国ブームの大きなきっかけとなりました。

アジフライ人気再燃の背景には、手軽な価格での提供、専門店による高品質なフィレタイプの登場、そして地域ブランド「松浦アジ」を活かした戦略など、様々な要因が複合的に絡み合っていると言えるでしょう。国民食ともいえるアジフライは、進化を続けながら今後も多くの人々を魅了しそうです。

【参考】

  • Yahoo!ニュース / TBS NEWS DIG