財務省が「次期総理」に望む政治家とは?増税シナリオと候補者の評価

参院選での与党大敗予測が広がる中、選挙後を見据えた水面下での動きが活発化している。特に注目されているのが、一部で「増税マフィア」とも呼ばれる財務省の動向だ。「次の総理のもとでは必ず増税を実現させる」という強い思惑を胸に、財務省はポスト石破茂・首相の有力候補者たちへのアプローチを開始していると報じられている。では、財務省が最も期待を寄せる「増税宰相」候補とは一体誰なのだろうか。

財務省が待望する「増税宰相」の選定基準

本誌・週刊ポストは、この財務省の思惑を探るべく、複数の識者による独自調査を実施した。長谷川氏、元内閣官房参与の藤井聡氏(京大大学院教授)、元文部官僚の寺脇研氏、経済評論家の上念司氏、経済ジャーナリストの荻原博子氏の5名が、ポスト石破が有力視される政治家たちを評価。採点基準は、「増税推進度(財政規律重視度)」と「財務省依存度」の2項目で、それぞれ5点満点とした。評価対象は、前回の自民党総裁選に出馬した8人(石破首相を除く)に岸田前首相を加えた計9人、さらに立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、公明党の各党党首を含む合計13人である。

「財務省が総理にしたい政治家」トップ3と注目候補

この採点結果に基づき、「財務省が最も総理にしたい政治家」のランキングが明らかになった。栄えある1位に輝いたのは、立憲民主党代表の野田佳彦氏だ。「増税推進度」は合計22点、「財務省依存度」は満点の25点という突出した評価を得た。野田氏はかつて消費増税を断行した経緯があり、財務省にとってはまさに「増税を成し遂げた大宰相」と位置づけられている。

2位には、加藤勝信財務相、岸田文雄前首相、林芳正官房長官の3氏が同点で並んだ。いずれも自民党内の要職を経験し、現行の財政運営に深く関与している点が評価されたと見られる。続く5位は公明党代表の斉藤鉄夫氏。また、若手ながらも「コメの価格破壊」などの政策で名を馳せた小泉進次郎氏が6位にランクインしたことも注目される。一方で、最下位、すなわち「財務省が最も総理にしたくない政治家」と採点されたのは、高市早苗前経済安保相であった。

財務省が次期総理に期待を寄せる政治家候補の一人、小泉進次郎氏。増税推進派の期待がかかる若手政治家の姿。財務省が次期総理に期待を寄せる政治家候補の一人、小泉進次郎氏。増税推進派の期待がかかる若手政治家の姿。

専門家が読み解く財務省の「本命」と「対抗」

今回の採点に参加した識者たちは、参院選後の財務省の動きをどう予測しているのだろうか。経済評論家の上念司氏は、「本命・野田、対抗・岸田」という見方を示している。上念氏によると、野田氏は財務省にとって「自分たちが純粋培養した政治家」であり、首相時代に消費増税を達成した功績から「大宰相」として高く評価されているという。今回のポスト石破政局では、自民・公明と立憲民主党による「大連立」を財務省が画策しており、この盤石な政権基盤のもとで野田首相が消費増税へと動くことを後押ししたい、というのが財務省の思惑だと分析する。

一方、岸田前首相については、「増税ができなかった総理」という位置づけだ。財務省は消費増税への布石として定額減税や大規模な経済対策を実施させたものの、最終的な増税実施には至らなかった経緯がある。そのため、上念氏は「財務省は“もう一度チャンスをやってもいいから、責任を果たせ”と考えているのだろう」と推測し、対抗馬として引き続き岸田氏を視野に入れている可能性を指摘した。

今回のランキングと専門家の見解は、今後の日本政治、特に財政政策の方向性を占う上で重要な指標となる。増税への強い意欲を持つ財務省の動向と、次期首相候補たちの政策姿勢は、国民生活に直接的な影響を与えるだけに、引き続き注視が必要だ。

参考文献