参政党は7月13日、TBSが参議院選挙(20日投開票)を巡って放送した「報道特集」の内容に対し、「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く」と抗議し、訂正を求める申し入れ書を公開しました。この動きに対し、言論法の専門家からは「報道機関への圧力だ」との指摘が出ており、メディアの公正性と政治の介入に関する議論が深まっています。
参政党が抗議した『報道特集』の内容
問題とされているのは、7月12日に放送された「報道特集」の「争点に急浮上 “外国人政策”に不安の声」と題された回です。番組では、「日本人ファースト」を掲げる参政党について、「外国人が優遇されている」と訴え、外国人に関連する犯罪や生活保護制度に関して強硬な主張を繰り返していると説明しました。さらに、同党の神谷宗幣代表の発言内容や、番組が懸念する排他的・差別的な風潮を不安視する外国人留学生の声も紹介されました。
東京都港区にあるTBS放送センター。参政党が参院選報道を巡り抗議を申し入れたテレビ局。
参政党とTBSの公式見解
参政党は公式ホームページ上で、「番組の構成・表現・登場人物の選定等が放送倫理に反する」と強く主張し、今回の報道を「不当な偏向報道」であるとの見解を示しました。また、同党は既に、放送倫理・番組向上機構(BPO)に対しても神谷代表の意見書を提出していることを明らかにしています。一方、TBSの広報担当者は7月14日、「申し入れは頂いている。(参政党には)お答えさせていただく」とコメントし、対応を進める姿勢を見せています。
専門家が指摘する「報道機関への圧力」
専修大学の山田健太教授(言論法)は、参政党による一連の抗議行動について「報道に対する政党からの圧力であって、許されない」と厳しく批判しました。山田教授は、放送法が定める「政治的公平」の概念は「数量の平等ではなく、質的な公正さ、すなわち公正な社会実現のために社会的弱者の声を取り上げたり、不正義を正したりすることを指す」と強調しました。その上で、「番組は批判されるような内容ではまったくない。公平かどうかの判断を政党や政治家が行うべきではない」と述べ、政治勢力が報道内容の公平性を独断で判断し、圧力をかけることの危険性を指摘しました。
今回の参政党による抗議は、メディアが選挙報道において果たすべき役割、そして政党による報道への介入の是非について、改めて社会的な議論を促すものとなるでしょう。公正で中立な報道の維持は、民主主義社会の健全な機能にとって不可欠です。