映画『国宝』、アカデミー賞国際長編映画部門への挑戦を開始:米国初公開の反響

李相日監督の最新作『国宝』が、ついにアメリカでの限定公開を迎え、来年のアカデミー賞国際長編映画部門への重要な第一歩を踏み出しました。ロサンゼルスとニューヨークの各1館で1週間のみの上映という、アカデミー賞資格獲得を目的とした異例の形式ながら、現地では既に大きな注目を集めています。特に、李監督と主演の吉沢亮が参加したロサンゼルスでの特別上映会は、観客から熱烈な反応を得ました。本記事では、『国宝』の米国でのスタートと、今後のアカデミー賞戦線における展望について詳述します。

米国での限定公開戦略と初期の反響

映画『国宝』の米国公開は、ロサンゼルスのユニバーサル・シネマAMCとニューヨークで、それぞれ1館・1週間の限定上映という特殊な形式で実施されました。この戦略は、一般的な興行収入ではなく、アカデミー賞国際長編映画部門への正式なエントリー資格を得ることを最優先に据えたものです。当初、ユニバーサル・シネマAMCでは最小規模のシアターが充てられましたが、前売り券の早期完売を受け、より大きなシアターが急遽追加されました。しかし、限定公開期間の終盤には、再び小規模シアターでの上映に戻っています。このような動きからも、映画への期待値の高さがうかがえます。

李相日監督(左)と主演の吉沢亮(右)はロサンゼルスの上映会に参加した李相日監督(左)と主演の吉沢亮(右)はロサンゼルスの上映会に参加した

ロサンゼルス特別上映会:監督・主演俳優が現地入り

現地時間11月18日夜、ロサンゼルス中心地にあるアカデミー博物館内のシアターで、李相日監督と主演の吉沢亮が登壇する特別上映会が開催されました。このイベントには、日本領事館やJETROが協力し、各種映画賞の投票権を持つ関係者や多様な業界関係者が招待されました。上映前、李監督が3時間という上映時間について観客に冗談を飛ばす一幕もありましたが、途中で席を立つ観客は一人もおらず、映画への高い集中度が示されました。エンドクレジットが流れると、会場からは盛大な拍手と「ブラボー!」の声が上がり、作品は非常に好意的に受け止められました。

外観は怪しいが内部は豪華なグランドサロン十三で撮影された映画『国宝』の1シーン外観は怪しいが内部は豪華なグランドサロン十三で撮影された映画『国宝』の1シーン

観客を魅了した場面とアカデミー賞ノミネーションの展望

特に、渡辺謙演じる花井半次郎が舞台上で血を吐く迫真のシーンでは、会場からどよめきが起こるなど、多くの観客が作品の世界観に深く引き込まれている様子が見て取れました。日本の試写会では当然とされる観客の没入感が、アメリカでも同様に得られたことは、本作の普遍的な魅力を示すものと言えるでしょう。

しかし、アカデミー国際長編映画賞の候補入りは、極めて熾烈な競争が予想されます。今年は、世界が直面する重要なテーマを取り上げ、深く考えさせられる感動的な作品が多数エントリーしており、『国宝』がこの厳しい戦いを勝ち抜き、栄誉あるオスカーノミネーションを勝ち取れるか、今後のアワード戦線に大きな注目が集まります。

映画『国宝』の米国での限定公開は、アカデミー賞国際長編映画部門への挑戦という重要な一歩を踏み出しました。ロサンゼルスでの特別上映会では、監督や主演俳優の参加が話題となり、観客からの熱い支持を獲得。しかし、国際長編映画賞の競争は厳しく、今後の選考過程が作品の運命を左右します。『国宝』が世界の舞台でその真価を発揮し、オスカーノミネーションを勝ち取れるか、日本のみならず世界中の映画ファンがその行方を見守っています。


References:
Yahoo!ニュース