マツコの知らない世界が映し出す「30代婚活」の現実と賛否両論の波紋

2024年7月8日に放送された人気番組『マツコの知らない世界』(TBS)では、「30代からの婚活の世界」が特集され、そのリアルな内容が視聴者の間で大きな話題を呼び、インターネット上では様々な声が飛び交いました。この企画は、晩婚化が進む現代において、特に婚活の激戦区とされる30代の男女が「本気の婚活」に挑む姿を浮き彫りにするもので、前回放送された「40代からの婚活企画」が大きな反響を呼んだことから、今回の特集が実現した経緯があります。

30代「本気の婚活」に迫るリアルな登場人物たち

番組には、東京都青山で結婚相談所「マリーミー」を運営するベテラン婚活アドバイザーの植草美幸さんと、その娘のれいあさんが登場しました。彼女たちは、真剣に結婚を望む30代の独身男性・女性に対し、具体的なアドバイスを与え、実際に婚活パーティーに参加する様子が克明に描かれました。

登場した参加者たちは、視聴者に強い印象を与えました。例えば、年収約200万円で光熱費は親に払ってもらっているにもかかわらず、女優の菜々緒がタイプだと語る34歳のラーメン店アルバイト男性。また、自身の年収は300万円で身長158cmの飲食店アルバイトながら、相手女性には年収500万円を求める35歳の男性。さらに、会社員とモデル業を兼業し年収500万円でありながら、男性には年収800万円以上を求める31歳の女性など、その条件や価値観が赤裸々に語られました。

マツコの知らない世界で紹介された婚活アドバイザー植草美幸氏と婚活参加者たちマツコの知らない世界で紹介された婚活アドバイザー植草美幸氏と婚活参加者たち

婚活アドバイザー植草氏の「現実を突きつける」辛口コメント

結婚相手に求める理想の条件を語る参加者たちに対し、婚活アドバイザーの植草美幸氏は、時に厳しく、しかし核心を突くコメントを連発しました。彼女からは「言っていることすべてがドリーム」「図々しいにも程がある」「あなたくらいの女性は山ほどいる」といった辛辣な言葉が投げかけられ、その様子は番組の大きな見どころとなりました。植草氏は、結婚のために自分自身を見つめ直し、現実的な視点を持つことの重要性を参加者に厳しく指摘しました。この「辛口アドバイス」が、多くの視聴者の共感を呼びました。

ネット上で沸き起こった賛否両論の声

番組が放送されるやいなや、その内容は瞬く間にSNSで拡散されました。特に、参加者たちの発言や植草氏のコメントが切り取られた動画や画像が多く共有され、ネット上では活発な議論が繰り広げられました。「実際に婚活パーティーに行くとこんな男ばっかりだよね」「こういう人たちは自分には甘いのに他人には厳しい」「頭ハゲて親のスネをかじった年収200万のフリーターが誰かと結婚できると思える自己肯定感は羨ましいくらい」といった、参加者たちへの批判的な意見が多数寄せられました。

番組の構成としては、婚活現場のリアルを伝えると共に、視聴者がエンターテイメントとして楽しめるよう、「身の程をわきまえず理想の高い相手を求めるため、結婚できていない難のある独身男女」の生態に焦点を当てていたことは明らかです。参加者の顔やスペック、異性に求める条件がテロップで表示され、植草氏が容赦なく釘を刺すという分かりやすい構図は、X(旧Twitter)などで大きな盛り上がりを見せました。

「設定あり婚活」疑惑と真剣婚活者からの懸念

一方で、今回の参加者たちが「婚活に興味のあるエキストラ事務所に所属している男女」として番組冒頭で紹介されていたことに対し、疑問の声も上がりました。特に、番組に登場した男性2人は役者業もしながらアルバイトで生計を立てていることが、ネット上に掲載された役者業のプロフィールから特定されたことで、「ヤラセ」ではないかという疑惑が浮上しました。

この状況に対し、「結局は素人ではなく売れてない役者か」「ヤラセだとしても面白いからいいじゃん」といった意見がある一方で、真剣に婚活に取り組んでいる人々からは、異なる種類の懸念が表明されました。「こういう番組のせいで婚活中の私たちまで非常識で理想の高い高飛車だと思われそうで嫌」「真面目に婚活している人をバカにする流れを助長するのは、余計に非婚化を進ませるのでは?」といった、番組に対する拒否反応や、二次被害を訴える声も寄せられました。

今回の『マツコの知らない世界』の「30代からの婚活の世界」特集は、日本の晩婚化や非婚化が進む中で、婚活の実情と社会が抱える課題を浮き彫りにする内容となりました。視聴者からは様々な意見が寄せられましたが、この番組が婚活の現状と、メディアが社会問題をどう映し出すかについて、改めて考えるきっかけを与えたことは間違いありません。

参考文献