米国で、56歳の中年男性が生成系AI「ChatGPT」を活用したカスタマイズ型の運動・食事プランを実践し、わずか46日間で11キロを超える減量に成功した事例が大きな注目を集めています。この驚くべき成果は、AIが個人の健康管理においていかに強力なツールとなり得るかを示しています。
ChatGPTのロゴマーク。生成AIを活用したダイエット計画が話題に。
転機となった「自己認識」とChatGPTへの相談
この成功事例の主人公は、登録者256万人を誇る人気ユーチューバーのコディ・クロンさん(56歳)です。彼は以前、オートバイ事故で負傷した後、深刻なうつ状態に陥り、体重が大幅に増加しました。体調不良のため趣味の活動もできなくなり、無気力な日々を送っていたといいます。2025年4月1日、56歳の誕生日を迎えたクロンさんは、シャワー中に鏡に映る自身の姿を見て「恥ずかしい」と感じ、大きな決意を固めました。
彼は高額なジムの会員権やパーソナルトレーナーに頼る代わりに、革新的なアプローチを選択しました。自身の現在の状況や身体的な限界、目標などをChatGPTに詳細に伝え、それに基づいて個別の運動・栄養計画の作成を依頼したのです。これは、AIが個人のニーズに合わせたソリューションを提供できる可能性を如実に示す事例となりました。
ChatGPTが提案した具体的なダイエット計画
クロンさんは、ChatGPTが作成した減量プランを46日間にわたり徹底的に実行しました。その内容は、自宅で無理なく実践できるものから、厳格な食事管理、そして日々のライフスタイル改善に至るまで多岐にわたります。
自宅で実践可能な運動ルーティン
運動面では、高価なフィットネス機器は一切不要でした。クロンさんが使用したのは、ケトルベル、縄跳び、懸垂バー、ディップスタンド、抵抗バンドといった、家庭でも手軽に用意できる基本的な器具のみです。彼は毎朝4時30分に起床し、水とブラックコーヒーを摂取した後、すぐに運動を開始するという規律正しいルーティンを守りました。この自宅トレーニング中心の計画は、時間や場所の制約がある人々にとっても実現可能性の高いアプローチとして注目されます。
薬物に頼らない食事と生活習慣の改善
食事と生活習慣についても、ChatGPTは具体的なアドバイスを提供しました。薬物に頼ることなく、規則正しい食事と健康的な食材、適切なサプリメントの摂取が推奨されました。特に、1日2食を全粒穀物ベースにし、午後5時以降の食事は一切禁止されました。また、加工食品、砂糖、油脂の摂取を厳しく制限するよう指示されました。さらに、良質な睡眠を確保するため寝る前の電子機器の使用を控え、日光浴や1日4リットル以上の水分摂取といった、健康的なルーティンもすべて忠実に守られました。これらの包括的な改善策が、減量成功の鍵となりました。
驚くべき結果とAI活用の可能性
ダイエット開始時、クロンさんの体重は94.8キロでしたが、46日後には83.4キロまで減少し、合計11.4キログラムもの減量を達成しました。体重減少だけでなく、筋力と体力も著しく向上したとクロンさんは語っています。
クロンさんは自身の体験を振り返り、「46日間、トレーニングから食事、回復管理までAIに頼ったが、その変化は衝撃的だった」と述べました。そして、「プロのトレーナーがいなくても、AIのサポートだけで肥満体から引き締まった体に変わることができた」と、AIが個人の健康目標達成に貢献できる計り知れない可能性を示唆しました。この事例は、生成AIが単なる情報提供ツールに留まらず、具体的な課題解決やライフスタイルの改善にも応用できることを証明するものです。