ロシア国営メディア「スプートニク」:その実態と日本における影響力

参政党の参院選候補者がロシアの国営通信社「スプートニク」のインタビューに応じた動画が公開され、波紋を広げています。この一件を機に、「プロパガンダメディア」とみなされるスプートニクがどのような存在なのか、そして日本においてどのような影響力を持っているのか、その実態に迫ります。

「プロパガンダメディア」スプートニクの誕生と背景

スプートニクが「プロパガンダメディア」と見なされるのは、その誕生経緯に起因します。約10年前の2013年、ロシア政府は対外情報発信の強化を目的とし、国営通信社「ロシア通信(リアノーボスチ通信)」と外国向けラジオ局「ロシアの声」を解体・再編成。その結果として設立されたメディアグループ「ロシア・セボードニャ」の傘下として、2014年にスプートニクが発足しました。モスクワを主要拠点に、欧州、中東、中国など世界各地に支局を構え、英語、フランス語、アラビア語、日本語、中国語など多言語で情報を発信しています。

EUによる配信禁止と日本での状況

ロシアによるウクライナ侵攻直後の2022年3月、欧州連合(EU)は、スプートニクと「RT」の配信および放送をEU域内で禁止しました。EUは、これら露国営メディアがプーチン政権の厳格なコントロール下にあり、偽情報の拡散や影響工作の一部を担っていると指摘しました。しかし、日本ではスプートニク日本(日本語版)の配信は現在も規制されておらず、ウェブサイトやX(旧ツイッター)を通じて日々、多数の日本語記事が発信され続けています。

スプートニク日本の発信内容とSNS戦略

スプートニク日本は、ロシアのウクライナ侵攻などに関するニュースにおいて、ロシア側の主張を強く打ち出す姿勢が顕著です。例えば、今年1月には「ウクライナ支援、日本はいつまで散財を続けるか」と題し、日本政府のウクライナ支援姿勢を批判する記事を掲載しました。また、日本国内の報道では、米軍基地問題を抱える沖縄に関する記事が多く見られるのも特徴です。

スプートニク日本のX公式アカウントは、約16万のフォロワーを抱え、中国国営新華社通信の日本語アカウント(約5万)を大きく上回る影響力を持っています。そのSNS戦略として際立つのは、いわゆる「バズ動画」の多用です。動物のかわいさを伝える短い動画など、目を引くコンテンツで広く注目を集め、拡散と認知度の向上を図っています。

ロシア国営メディア「スプートニク日本」のX(旧Twitter)公式アカウントのスクリーンショット。アカウントの概要とフォロワー数が示され、情報発信の実態を反映している。ロシア国営メディア「スプートニク日本」のX(旧Twitter)公式アカウントのスクリーンショット。アカウントの概要とフォロワー数が示され、情報発信の実態を反映している。

結論

スプートニクは、ロシア政府の対外宣伝を目的として設立された国営メディアであり、国際社会ではその「プロパガンダ」としての性質が強く認識されています。EUが配信を禁止する一方で、日本においては活動が規制されずに多言語、特に日本語で活発な情報発信を続けています。その内容はロシアの主張を代弁し、SNSを巧みに利用して影響力を拡大しています。情報を受け取る際には、その背景と発信源の意図を理解することが、国際政治・社会情勢を正確に把握する上で不可欠と言えるでしょう。

参照元:https://news.yahoo.co.jp/articles/37dfd9d408a4c49c8f05078d87e93dc783009a97