「カツベン!」劇中無声映画も贅沢に撮影 周防監督インタビュー



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 5年ぶりとなる周防正行監督の新作は、映画が「活動写真」と呼ばれ、まだサイレント(無声)でモノクロ(白黒)だった大正時代の話だ。上映の場で独自の“しゃべり”を入れて映画を盛り上げた「活動弁士」、通称・活弁(カツベン)を主人公にしている。今回、初めて自身の脚本ではない作品を、フィルムではなくデジタルで撮影。“初尽くし”の体験をした監督に本作の見どころを聞いた。(水沼啓子)

 脚本は、本作で監督補も担った片島章三さん。周防監督らの数々の作品の助監督を務めながら、20年来コツコツと温めてきた内容という。監督は「素直に脚本が面白かった。なおかつ、まるでサイレント映画のように撮りたいというものだった」と話す。

 周防監督が、監督を引き受けることの条件としたのは、片島さんを「撮影現場に助監督ではなく、純粋な演出のパートナーとして入れてくれること」だったという。また、脚本には一切手を加えず、片島さんの世界観を尊重した。

 主役の活動弁士は、映画初主演となる成田凌。「オーディションで、誰がこの役を演じたら、僕がいちばん好きになれそうかで決めた。彼の持っている初々しさは作品にぴったり。活弁のしゃべりもがんばってくれた」と評価した。

 メインのシーンは昨年9月から11月に撮影。また劇中に登場する無声映画も実在のフィルム「雄(お)呂(ろ)血(ち)」1本を除き、10本すべてがメインシーンの撮影前後に新たに撮られた。「(東映が)よく、こんなに長く撮影させてくれたと僕自身びっくりした」という贅(ぜい)沢(たく)な製作現場だった。

 監督初のデジタルでの撮影は、現代のロケでも、大正時代の風景を再現するための修正が容易で、その利便性を認識したという。

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