弁護士の八代英輝氏(61)らが12日、カンテレの番組「ドっとコネクト」に出演し、静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)の学歴詐称疑惑について議論を展開した。田久保市長を巡っては、市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載されていた経歴が、実際には同大学を除籍されていたことが判明し問題となっている。
伊東市長の学歴詐称問題をテレビで解説する弁護士の八代英輝氏
疑惑の経緯と卒業証書を巡る焦点
伊東市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と掲載された経歴に対し、実際には大学を除籍されていた事実が発覚したことから、田久保市長の学歴詐称疑惑が浮上した。市議会の青木敬博副議長が卒業証書の提示を求めた際、田久保市長は「卒業証書」だと主張する文書を提示したものの、「チラ見せ」するに留まった。
さらに、学歴詐称の責任を取る形で一度は辞職する意向を示しつつ、改めて市長選への立候補を表明した7日の会見にも証書を持参せず、静岡地検に提出したと説明。この「チラ見せ」された文書こそが、今回の疑惑における最大の焦点となっている。
番組出演者たちの見解
番組では、この問題について識者らが様々な角度から意見を述べた。放送作家の鈴木おさむ氏は「除籍で卒業証書なんか出ないでしょ?」と素朴な疑問を呈し、神戸学院大教授で元厚労省キャリア官僚の中野雅至氏もこれを強く否定し、「絶対出ない」と断言した。
弁護士である八代氏も二人の意見に同意しつつ、証書を誰からもらったか市長が言及していない点や、「弁護士事務所の金庫の中にある」という説明の不可解さを指摘。「見せればいいじゃないですか」と苦笑いを禁じえなかった。
八代氏はまた、田久保氏の代理人弁護士についても言及。「東京の弁護士さんで、しっかりと苦労されて東洋大学の法科大学院を出られている。我々弁護士は、相続関係などで遺言書が本物か偽物かを見抜く目が相当肥えているはず。その先生が『自分の中では卒業証書を本物だ』と言うのは、この先の自身の職業全てを賭けているに等しい」と、その発言の重みを指摘しつつ首をかしげた。
中野氏は卒業証書の真偽について自身の見解を強く主張。「僕は偽造しかあり得ないと思っている。在学証明書や成績証明書をもらってそれを卒業と勘違いしました、というならまだ理解できる。しかし、卒業証書になったら意味合いが全く違う。証書には大学のはんこが押されているからだ」と述べ、文書が正式な卒業証書である可能性を否定した。
さらに、八代氏が「百歩譲って、卒業式に欠席した人に事務方が間違えて卒業証書を郵送してしまった、ということはありますか?」と尋ねたが、中野氏は「ありえない」、MCの石井亮次アナウンサーも東洋大学に2回問い合わせた結果として「除籍で卒業証書が出ることはない」と明確に否定。八代氏は「大変な間違いですもんね、それをやったら」と述べ、大学側のミスである可能性も極めて低いことを理解した。
出直し選への立候補と尽きない論争
MCの石井アナは、一連の疑惑がこれほど大きく取り上げられている背景について言及。「これがまた、(田久保氏が)出直し選に出るっちゅーからこんなに取り上げてるんですよ!」と語気を強め、学歴詐称疑惑が解消されないまま、市長職を辞してなお再び同じポストに立候補しようとする田久保市長の姿勢に対する批判的な見方を示した。
結論
伊東市長の学歴詐称疑惑は、提示されたとする卒業証書の真偽やその提示方法、さらには疑惑が解消されない中での出直し選挙への立候補表明により、依然として波紋を広げ続けている。番組出演者である弁護士や元官僚といった専門家からも卒業証書の信ぴょう性に対して強い疑問の声が上がっており、今後の捜査の行方や、市長選における有権者の判断が注目される。