【ソウル=名村隆寛】韓国大統領府は5日、親族の不正疑惑で10月に辞任したチョ・国(グク)前法相の後任として、与党「共に民主党」の前代表で国会議員の秋美愛(チュ・ミエ)氏(61)を起用することを発表した。秋氏は裁判官出身。文在寅(ムン・ジェイン)政権が目指す検察改革の実現に向けた人事とみられる。
秋氏は現在、国会議員5期目で、2016年に党代表に選ばれた。大統領選では2002年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏、17年には文氏の当選にそれぞれ貢献した。
文在寅大統領は9月に、検察改革の切り札としてチョ氏を法相に強行任命したが、妻の不正投資などの疑惑でチョ氏はわずか1カ月で辞意を表明した。チョ氏の辞任を受けて、法相のポストは2カ月近く空席となっている。
チョ氏の妻は逮捕、起訴されており、検察はチョ氏の関与についても調べている。検察は収賄容疑で逮捕された前釜山副市長への監察を打ち切らせた疑いで、4日に、大統領府を捜査した。今年7月まで大統領府の民情首席秘書官だったチョ氏による打ち切り指示の疑惑も浮上している。
韓国では検察改革を目指す文政権と検察の対立構造が鮮明となってきている。