韓国・江原道江陵市にある動物愛センターで発生した衝撃的な出来事が、動物愛護に関心を持つ人々の間で大きな波紋を呼んでいます。新しい家族に引き取られたばかりの保護犬「クノ」が、わずか7時間という短い時間の後に、全身の毛を刈り取られた無残な姿でセンターに返還されたのです。この信じられないような出来事は、ペットを家族として迎えることの責任と倫理について、改めて私たちに深く問いかけています。
江陵市動物愛センターを襲った衝撃:クノの悲劇
この悲劇は、2歳のオス犬「クノ」に起こりました。クノは7月19日の午後1時30分頃、新しい飼い主の元へと引き取られ、保護施設を後にしました。しかし、その喜びは長くは続きませんでした。わずか7時間後、クノは再びセンターへと戻されることになります。飼い主は返還理由として「先住犬との相性が合わなかった」と説明したとされています。しかし、センターのスタッフがクノの姿を目にしたとき、大きな衝撃を受けました。
引き取り前に豊かな毛並みを持っていた保護犬クノ。江陵市動物愛センターのインスタグラムより。
サモエドとチャウチャウのミックス犬と見られるクノは、そのふわふわとした豊かな毛並みが大きな魅力でした。にもかかわらず、戻ってきたクノの体には、その美しい毛並みは跡形もなく、すっかり刈り取られた状態だったのです。センター側はこれを「自宅でのトリミングによって、めちゃくちゃにされた毛だけが残された」と表現し、強い憤りとともにその状況をインスタグラムに投稿しました。
センターの深い悲しみと問いかけ
クノの返還だけでも深く心を痛めていたセンターのスタッフたちは、無残な姿で戻されたクノを見て、そのショックを隠しきれませんでした。彼らは「返されたことだけでも気が滅入るというのに、この子の魅力をどうやってもう一度伝えればいいのか途方に暮れている」と、その複雑な心情を吐露しました。
さらに、スタッフはクノの精神的な状態を深く案じています。「毛はひどく台無しにされ、心まで傷ついてしまったのではないかと心配したが、幸いクノは今も変わらず無邪気だ」と述べる一方で、「だからこそ余計に心が痛み、クノにとても申し訳ない気持ちになる」と、その悲しみを募らせています。
クノに託された新たな希望とセンターの願い
現在、クノは再び江陵市動物愛センターで、本当の家族との出会いを待っています。スタッフは、これまでの悲しい経験にもかかわらず「クノは今も人が大好きだ」と語り、その純粋な心を強調しています。
センターは、クノがこの心の状態を保っているうちに、心から信頼できる新しい家族に出会ってほしいと強く願っています。彼らは「一時的な感情ではなく、責任を持って一生を共にできる準備が整っている方であれば、クノにもう一度チャンスを与えてほしい」と、里親希望者に向けて切実な呼びかけを行っています。ペットを家族として迎え入れることの重さと、その一生に対する責任の重要性が改めて問われています。
無責任な行動への社会の怒り
このクノのエピソードに接した多くの人々は、怒りと悲しみを露わにしています。インターネット上では「トリミングの練習のために引き取ったのか。こんな姿で戻ってくるなんて心が痛すぎる」「引き取ってすぐ“相性が合わない”などと言って返すなんて、あまりにも無責任だ」「初日に毛を刈るなんて、常識がある人ならやらない」といった非難の声が多数寄せられています。
このような無責任な行為は、動物の命を軽視し、彼らの心身に深い傷を与えるものです。今回の事件は、ペットを家族として迎え入れる際には、その生命に対する深い愛情と、終生飼育の責任を真剣に考える必要があることを私たちに強く教えています。
参考文献: