石破首相、参院選大敗後も続投を正式表明 「国政停滞招かぬ」と強調し党内の退陣圧力に直面

自民、公明両党が歴史的な大敗を喫した参議院選挙を受け、石破茂首相(自民党総裁)は21日、党本部での記者会見で正式に続投を表明しました。首相は「国難ともいうべき厳しい状況で最も大切なことは国政に停滞を招かないことだ」と強調し、森山裕幹事長ら党執行部の引責辞任にも否定的な考えを示しました。しかし、党内からは参院選大敗の責任を問う声が噴出し、首相や執行部への退陣圧力が強まっています。

続投の意図と今後の政権運営

石破首相は、参院選の結果を「痛恨の極みだ。重大な責任を痛感しながらも、比較第1党としての責任を果たしていく」と述べ、自身の責任を認めつつも、政権運営の継続に意欲を示しました。続投の期限については「今考えているわけではない。物価高や自然災害への対応など喫緊の課題に解決の道筋を付ける」と明言を避け、目の前の課題解決に全力を挙げる姿勢を強調しました。

衆参両院で過半数を持たない「少数与党」に陥ったことで、今後の首相の政権運営は一層厳しさを増すとみられます。首相は「公明以外の他党とも真摯な議論を通じ、新たな政治の在り方について一致点を見いだしたい」と述べ、一部野党との連携模索に前向きな姿勢を示しました。

8月1日に期限を迎える米国との関税協議に関しては、「日米双方に利益となる合意を実現する」と明言。トランプ米大統領との早期の首脳会談にも強い意欲を示し、外交面での指導力を発揮する考えを滲ませました。党役員人事や内閣改造については、9月の役員任期を念頭に置き、今後の対応を検討するとしています。

自民党臨時役員会で発言する石破茂首相。参院選大敗後も続投の意向を示し、党内の責任論が高まる中、国政運営への決意を語る様子。自民党臨時役員会で発言する石破茂首相。参院選大敗後も続投の意向を示し、党内の責任論が高まる中、国政運営への決意を語る様子。

党内の責任論と高まる退陣圧力

石破首相は21日、公明党の斉藤鉄夫代表と公邸で会談し、自公連立政権の継続を確認しました。斉藤代表も首相の続投を支持する意向を示し、連立の安定性を強調しました。

しかし、自民党内では首相ら執行部への退陣要求が相次いでいます。京都選挙区で4選を果たした西田昌司氏は記者団に対し、首相の続投表明は「ありえない」と批判し、総裁選の早期実施を強く求めました。また、高知県連は首相の早期退陣を党本部に求めることを決定。同県連会長を務めるのは中谷元防衛相です。林芳正官房長官が会長を務める山口県連も、幹部が首相の退陣を要求するなど、地方組織からの圧力が顕在化しています。

さらに、河野太郎選対委員長代理は自身のX(旧ツイッター)で、森山裕幹事長の続投を批判。「選挙の責任者である幹事長が辞表を出していないのはおかしい」と投稿し、党執行部への不満が表面化しました。

自民党は21日の臨時役員会で、今回の参院選の敗因を詳細に分析するため、近く「参院選の検証総括委員会」を設置することを決定しました。この委員会を通じて、各都道府県連からの意見聴取を行う方針です。また、31日には両院議員懇談会を開催し、党所属議員から広く意見を聴き、今後の党運営に反映させる構えです。

結論

参院選大敗を受け、石破首相は国政の停滞を避けるため続投を表明しましたが、その道のりは多難を極めます。党内からは強い退陣圧力が噴出し、少数与党としての政権運営、喫緊の経済・外交課題への対応など、課題が山積しています。今後、首相がこれらの課題にどう向き合い、党内の求心力を維持していくかが注目されます。

参考文献

  • 産経新聞社 (2025年7月21日). 石破首相、続投を正式表明 参院選大敗も「国政停滞招かぬ」と強調. Yahoo!ニュースより引用.