参政党 神谷宗幣代表、「外国人特権はない」発言の真意と支持者の困惑

7月20日に投開票が行われた参院選で、1議席から14議席へと議席を大幅に伸ばした参政党。非改選の1議席を含めると合計15議席となり、参院において予算を伴わない法案を単独で提出できる11議席以上を確保するまでに躍進しました。今回の参院選の主要な争点には、物価高対策や外国人政策が挙げられましたが、参政党が掲げた「日本人ファースト」や反グローバリズムといった政策は、多くの有権者の支持を集めました。特に外国人政策を重視する層からの支持が厚く、15日の朝日新聞の情勢調査では、該当有権者の44パーセントが比例区で参政党を選んだと報じられています。

参政党の躍進と「日本人ファースト」の訴え

参政党は、選挙期間中、過度な外国人の受け入れに反対し、日本人の利益を最優先する「日本人ファースト」の理念を一貫して訴えました。選挙戦最終日の7月19日、東京・芝公園で行われたマイク納めでは、東京選挙区で当選した新人・さや氏(43)が「私を皆さんのお母さんにしてください!日本人のために働くお母さんにしてください!」と涙ながらに熱弁を振るい、支持者からの熱狂的な歓声を受けました。この「日本人ファースト」という主張は、一部で“扇動的”との批判も受けましたが、一方で、多くの国民の心に響いた側面も持ち合わせていました。

候補者らの「外国人優遇」を巡る主張とSNSの反響

しかし、同党の候補者らの中には、「日本では外国人が優遇されている制度がある」と誤解を招きかねない主張をする例も見られました。例えば、神奈川選挙区で当選した元警察官の初鹿野裕樹氏(48)は、公示直前の6月30日、街頭演説で「外国人の留学生は一人1000万円もらえる。日本の学生さんはどうなのか。進学をあきらめて就職する子もいる。奨学金をもらって大学を出る子もいるけど、卒業して20年かけて300~400万円も返さなければいけない」と訴える動画をX(旧Twitter)に投稿しました。彼が言及したのは文科省の「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」で、年間最大290万円が支給されますが、国籍は問われず、2024年度は日本人6439人、外国人留学生4125人が対象です。また、さや氏も演説で「中国の学生さん、留学生、290万円が年間で出されるわけですよ。月額18万円ですよ」と発言しており、特定の国籍の留学生を意識したものでした。これらの発言に対し、X上では「この外国人優遇政策をなくしてください」「これこそ逆差別ですね!」「日本人学生より外国人留学生の方が待遇が良いなんておかしい」といった切実な声が多数寄せられ、外国人への不満や疑問が噴出しました。

参議院選挙後の会見で発言する参政党の神谷宗幣代表参議院選挙後の会見で発言する参政党の神谷宗幣代表

神谷宗幣代表の「特権否定」発言とその波紋

このような流れの中、7月20日に参政党の開票センターで行われた会見で、神谷宗幣代表(47)はフリージャーナリストからの「外国人に特権はあると思われますか?」という質問に対し、次のように答えました。「外国人に特権?特に日本ではないんじゃないですか?ただ、日本人が平等じゃないって感じるような例がいくつかあるのかもしれません。だから、特権というものではなくて、もうちょっと日本人と同じようにしないといけない。外国人だから気を遣いすぎているんじゃないかと思うところがあるんじゃないかな、と思います」。

神谷代表は“制度上の外国人特権”を否定しており、先に挙げた候補者たちも直接的に「外国人特権」と述べていたわけではありません。しかし、その主張が結果的に支持者に「外国人が不当に優遇されている」という印象を与えた可能性は否定できません。そのため、神谷代表の今回の発言は、X上で大きな波紋を呼び、「じゃあ結局『外国人問題』なんてものは無かったんだってことでOK?」「支持者どうすんだコレ」「思い切り梯子を外された支持者たち」「それじゃ選挙中の外国人優遇許すな!の掛け声はいったい何だったの?」といった疑問や困惑の声が多数上がっています。

結論

参政党の躍進は、多くの国民が抱える現状への不満や、特定の政策、特に外国人政策への関心の高さを示しています。しかし、党首である神谷宗幣氏の発言が、一部の候補者の訴えや支持者の期待と乖離しているように受け取られたことで、党内および支持者間に微妙な空気をもたらしています。「外国人優遇」を巡る認識の違いは、今後も参政党の政策や支持層との関係性において、重要な論点として浮上する可能性があります。

参考文献