7月期の各局夏ドラマが出揃い、序盤の評価が定まってきました。現時点では飛び抜けた話題作は見られず、全体的には春ドラマに続き、やや盛り上がりに欠けるクールとなりそうです。映画界が『国宝』や『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』などで活況を呈するのとは対照的な状況です。
2024年夏ドラマの放送開始を告げるキービジュアル。各局の新ドラマに対する視聴者の期待と序盤の評価を反映。
繰り返される「不倫ドラマ」のテーマと視聴者の反応
前期に続き今期も「不倫」や「浮気」を題材としたドラマが多く、『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)、『レプリカ 元妻の復讐』(テレビ東京系)、『完全不倫―隠す美学、暴く覚悟-』(日本テレビ系)などが放送されています。王道の泥沼恋愛劇からサスペンス要素の強い復讐劇まで多様な内容ですが、毎期のように量産されるこのテーマには、食傷気味の視聴者も少なくないでしょう。
今期の注目は、鈴木おさむ脚本の『奪い愛、真夏』です。これは2017年1月期の『奪い愛、冬』を皮切りに、配信ドラマやスペシャルドラマを挟んで続いている「奪い愛」シリーズの最新作。不倫という定番のテーマをデフォルメし、笑いに昇華させる独特のストーリー展開が人気を集めてきました。過去作で培われたシリーズの強みが、今作で長寿シリーズ化への試金石となるか、その動向が注目されます。
安定人気の「刑事ドラマ」が充実、コアファンを魅了
一方で、安定した人気を誇る刑事ドラマは今クールも充実したラインナップです。『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』『最後の鑑定人』(ともにフジテレビ系)、『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜』(テレビ朝日系)、『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)、『放送局占拠』(日本テレビ系)が放送されています。事件捜査ものとしては『能面検事』(テレビ東京系)もラインナップに加わります。
これらの作品は根強いコアファンに支えられ、各局のドラマ編成において重要な位置を占めます。緻密な捜査描写や予測不能な展開など、ジャンルならではの魅力が今期も存分に発揮され、安定した視聴者層を確保しています。
2024年夏ドラマは序盤、飛び抜けた話題作は少ないものの、各作品の今後の展開に期待が寄せられます。不倫ドラマの多さは評価が分かれる一方、安定人気の刑事ドラマは引き続き支持を集める見込みです。映画界が活況を呈する中、テレビドラマ界が今後どのようにクールを盛り上げていくか、注目されます。