先週、日本株式市場は予断を許さないせめぎ合いを繰り広げました。前回の分析で「今年後半の超重要な1週間」とされた期間は、予想通りの激しい攻防の末、結論が出ないまま延長戦に突入。特に日経平均株価は、ETFの配当金捻出売りが続く中でも3万9500円を下回ることはなく、底堅さを見せた一方で、4万円の大台にはオプションSQ値を除いて到達せず、上値の重さが際立ちました。市場参加者の多くが、不透明な状況下での新たな材料を待ち望んでいます。
激化する日経平均の攻防:4万円の壁と下値支持
7月7日から11日の週は、上場投資信託(ETF)からの配当金捻出のための売り圧力が観測されました。しかし、日経平均株価は一度も3万9500円を割り込むことなく推移し、その底堅さを改めて示しました。一方、上値では4万円の節目に到達したのはオプションSQ(特別精算指数)値に限定され、現物価格は4万円の大台には届きませんでした。この膠着状態を受け、市場では「重要な週」の期間が7月14日から18日の週へと延長されましたが、依然として明確な方向性は見えませんでした。
後半相場への示唆:4度の「期待」が示すもの
しかし、期待感が全く見出せなかったわけではありません。先週の日経平均の日中の動きを詳細に分析すると、特筆すべき4つの局面がありました。14日には午前10時から午後2時まで、15日には午後1時から大引けまで、16日には後場寄りから午後1時過ぎまで、そして17日には寄り付き直後から大引け直前まで、いずれもほぼ一直線に株価が上昇する場面が見られました。残念ながらこれらの動きは全て裏切られる形となりましたが、見方を変えれば、これらの「期待感」を抱かせた4度の動きこそが、年後半の日本株市場の姿を示唆している可能性があります。4月初めのトランプ関税による大波乱を受け、多くのファンドが現金比率を引き上げ、「警戒型」のポジションを取っていたと考えられます。その後の株価上昇局面で、これらのファンドが通常のポジションに戻す作業を進めていたことが、参議院選挙前の様子見相場における東証プライム市場の低水準(15億株前後)の出来高の中で、より顕著な動きとして現れたと解釈するのが妥当でしょう。
参議院選挙後の政局と株式市場の行方を見守る投資家の姿。日本株市場は政治動向にも敏感に反応する。
注目すべき今週の決算発表:日米企業の動向が鍵
現在の市場の膠着状態を打破する鍵となるのが、本格化する四半期決算発表です。アメリカ企業ではすでに決算発表が進行中であり、今週はさらに注目企業が控えています。例えば、21日にはベライゾン・コミュニケーションズ、22日にはコカ・コーラ、そして23日にはテスラ、IBM、アルファベットなどの大手企業が実績を公表します。これに続き、国内でも3月本決算企業の第1四半期決算発表が今週から本格化します。24日には信越化学工業、ニデック、三菱自動車、中外製薬、キヤノンが、そして25日にはファナック、スクリーンHDなどが第1四半期の実績を発表する予定です。これらの発表では、足元の業績だけでなく、通期見通しの公表にも大きな期待が寄せられており、日本株市場の方向性を決定づける重要な材料となるでしょう。日本企業の業績は、一部で懸念されているほど悪くないという見方も出てきており、堅調な決算内容が市場にポジティブな影響を与える可能性も十分にあります。
結論
日経平均株価は、上値と下値の間で激しい攻防を続けていますが、その水面下では年後半の相場を占う重要な動きが確認されています。特に、警戒姿勢を取っていたファンドのポジション調整や、今後本格化する日米企業の四半期決算発表は、市場の膠着状態を打破し、新たなトレンドを生み出す可能性を秘めています。これらの要因が複雑に絡み合いながら、日本株市場はまさに転換点を迎えつつあると言えるでしょう。今週からの決算発表シーズンは、市場の不確実性を払拭し、投資家にとって明確な指針を示す重要な機会となるはずです。