大学入学共通テストの国語と数学の記述式問題導入をめぐり、自民党文部科学部会は6日、実施が可能か早急な方針表明を求める決議を萩生田光一文科相に提出した。決議は受験生の不安解消を掲げたが、党内に文科相経験者を抱える中で過去の政策判断の否定につながる「延期」と明記できないジレンマもにじむ。
萩生田氏は決議を提出した高階恵美子部会長らに「しっかりと見極めたい」と答えた。
この問題で、公明党は5日に導入延期を求める提言を出している。高階氏は記者団に「延期ありきの議論ではない。学生たちを最優先に考えるべきだというのが自民党のスタンスだ」と強調した。ただ、延期の選択肢を「全く除外するものではない」とも述べた。
自民の苦しい立場は決議にも表れている。記述式問題について「実施時期が迫ってから方針転換すれば、受験生に大きな混乱を招くことになりかねない」と指摘。一方で、必要な事項の総点検と早急な見直しに加え、適正に実施できるか厳正に検討するよう求めた。事実上「延期」を促しているようにも受け取れる。
ただ、自民党には記述式問題の導入に関わってきた文科相経験者がそろい、正面から延期を迫りづらい背景がある。決議は、国民の不安解消と政策の継続性を両立させる苦心の産物といえ、部会内からも「文科省から何も聞いていない。本当に延期するつもりなのか」(ベテラン)との声が漏れる。