宮川一朗太、葛藤乗り越え自宅で元妻を看取る:命の輝きと最後の奇跡

俳優・宮川一朗太さんが、20年前に離婚した元妻の終末期に、自宅での看取りを決断しました。娘たちの願いを受け入れ、複雑な思いを抱えながらも最期の時を共にした宮川さん。そこには、「つらかった」と「楽しかった」が混在する夫婦としての時間が凝縮され、そして意識混濁の元妻に見られた「命の奇跡」が刻まれていました。

「自宅看取り」への葛藤と決断

長年連れ添った夫婦であっても、離婚すればそれぞれが別の道を歩むのが一般的です。しかし、宮川一朗太さんの場合、がんを患い余命いくばくもない元妻を、離婚から20年の時を経て自宅で看取るという、稀有な決断を下しました。この背景には、何よりも娘さんたちの強い願いがありました。元妻の容態が悪化する中、「最期は住み慣れた家で過ごさせてあげたい」という娘たちの思いを受け入れた宮川さんには、計り知れないほどの葛藤があったといいます。それでも、家族の絆と元妻への配慮が、彼に「自宅で面倒を見よう」という覚悟を促したのです。

意識混濁の中での「帰宅」

元妻が宮川さんの自宅に迎え入れられたのは、2023年3月のことでした。離婚後、南の地方で暮らしていた元妻は、2022年の秋頃から専門的な治療を受けるため上京し、宮川さんの自宅から車で30分ほどの東京の病院に入院していました。自宅に戻る数日前には、すでに意識が混濁し、耳もほとんど聞こえない状態だったと宮川さんは振り返ります。病院では筆談が中心で、言葉を発することは極めて困難な状態でした。

宮川一朗太さんが「唯一の女性」と語る、生前の元妻との貴重なツーショット写真。宮川一朗太さんが「唯一の女性」と語る、生前の元妻との貴重なツーショット写真。

家族に見せた「命の輝き」と奇跡の瞬間

ところが、宮川さんの自宅に到着し、ベッドに移動させてくれた訪問看護師に対して、元妻ははっきりと「ありがとうございます」と声に出してお礼を伝えたといいます。これには宮川さんも深く驚き、以前の言葉が出ない状態を知る者にとっては、まさに奇跡としか思えませんでした。さらにその後、宮川さんが元妻の様子を見に行くと、彼女はなんと上半身を起こしていたのです。「ダメだよ、横になっていなくちゃ」と慌てて寝かせた宮川さんでしたが、その瞬間に人間の計り知れない生命力を強く感じたといいます。自宅に戻った安心感からか、それとも最期の力を振り絞ったのか、その真意は定かではありません。しかし、愛する家族のそばで、元妻が見せた「命の輝き」は、宮川さんにとって忘れられない、特別な瞬間となりました。


参考文献