初任給の3年連続引き上げ実態:企業採用難の現実

多くの企業で初任給の引き上げが続く中、その実態は。マイナビ調査によると、約9割が初任給を上げ、3割以上が3年連続で引き上げていることが判明。本記事では、この賃上げの実態と、新卒採用で企業が直面する課題を深掘りします。

企業における初任給引き上げの動向と連続性

マイナビの調査では、初任給を引き上げた企業は88.8%に達し、前年比4.4ポイント増加。上場企業は95.4%、非上場企業でも88.3%と高水準です。

連続引き上げでは、「3年以上連続」が31.0%で最多。「2年連続」(27.3%)が続き、上場企業では40.6%が3年以上連続で賃上げを実施。継続的な人材投資が企業戦略となっていることがうかがえます。

企業における初任給の3年連続引き上げ状況を示す調査結果企業における初任給の3年連続引き上げ状況を示す調査結果

採用活動における主要な課題と「売り手市場」の現実

初任給引き上げが進む一方、企業は採用活動で深刻な課題に直面。最大の課題は「母集団(エントリー数)の不足」(68.8%)です。

年々増加する課題として、「マンパワー不足」(33.8%)、「合同企業説明会での集客不足」(30.4%)、「2027年卒インターンシップ準備への悪影響」(7.4%)が挙げられます。

マイナビは、現在の「売り手市場」において、集客に苦戦し、2026年卒採用と2027年卒インターン対応を同時に進める必要から、マンパワー不足が重荷となっていると分析します。

採用難に直面する企業が抱える課題と初任給の増額推移採用難に直面する企業が抱える課題と初任給の増額推移

今回のマイナビ調査により、初任給の継続的な引き上げと、それに伴う企業の採用難が明確に。特に「母集団不足」や「マンパワー不足」が深刻であり、企業は「売り手市場」の中でより戦略的な人材確保が求められるでしょう。

参考資料

  • マイナビ調査「企業新卒採用予定調査」(2024年6月)