各地で記録的な猛暑が続き、多くの人々が海水浴や川遊びで涼を求めています。しかし、水辺のレジャーを安全に楽しむ上で、その水質は非常に重要な要素です。日本全国の海水浴場では、毎年水質調査が行われており、その結果は私たちの夏の計画に大きな影響を与えます。本記事では、環境省が公表する最新のデータに基づき、独自に作成された「水が汚い海水浴場ランキング2025」の詳細とその評価基準について解説します。
環境省データに基づく独自ランキング:水質調査の概要
環境省は、国民が安全に水辺活動を楽しめるよう、全国の海水浴場(一部、湖沼や河川の水浴場を含む)を対象に毎年水質調査を実施しています。残念ながら、2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の影響により調査結果の取り扱いが通常とは異なりましたが、それ以外の年は継続的にデータが収集されています。この公的な調査データを基に、私たちは特に水質格付けが「C」「B」「A」とされた合計272カ所の水浴場を対象とし、独自の「水が汚い海水浴場ランキング」を作成しました。これにより、夏のレジャー計画を立てる際の有用な情報を提供します。
夏の日差しが降り注ぐ、海水浴を楽しむ人々のイメージ写真。水質の懸念が高まる中で安全な水遊びの重要性を示唆しています。
水質判定基準の詳細:4つの指標と格付け
海水浴場の水質を評価する際には、以下の4つの主要な判定基準が用いられます。これらの基準は、水の清浄度や利用者の健康への影響を総合的に判断するために不可欠です。
- 化学的酸素要求量(COD): 水中の有機物量を示す指標で、値が高いほど水の汚れが進んでいることを意味します。
- ふん便性大腸菌群数: 人や動物の糞便に由来する菌の数を示し、これが高いと病原菌が存在するリスクが高まります。
- 透明度: 水の濁り具合や視認性を示します。透明度が高いほど水質が良いとされます。
- 油膜の有無: 水面に油膜が存在するかどうかで、油による汚染の有無を判断します。
これらの基準に基づき、水質は「適(AA、A)」、「可(B、C)」、「不適」の5段階で格付けされます。特に重要なのは、4つの基準のうちいずれか一つでも「A」の基準を満たせなかった場合、その海水浴場は他の基準がどれほど良くても「B」以下の評価に落とされるという点です。これは、わずかな汚染でも利用者の健康や安全に影響を与える可能性があるため、厳格な基準が設けられていることを示しています。
CODとは?水質汚濁度を示す重要な指標
化学的酸素要求量(COD)は、海水浴場の水質を測る上で特に注目される指標の一つです。これは、海水中に含まれる有機物を化学的に酸化する際に消費される酸素の量を換算したものです。簡単に言えば、水の中にどれだけの「汚れ」となる有機物が存在するかを示す数値です。CODの値が高いということは、水中に多くの有機物が存在し、その結果として水質汚濁の程度が大きいことを意味します。有機物は、排水や生活汚水などが原因で発生することが多く、水中の酸素を消費し、生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、CODは海水浴場の水質評価において、透明度や大腸菌群数と並んで非常に重要な役割を果たしています。
日本の水が汚い海水浴場ランキング2025:評価方法と結果の読み解き方
2025年の水質調査では、「不適」と判定される海水浴場は幸いにもありませんでした。しかし、より安全な水辺を選ぶための情報提供として、水質格付けが「C」「B」「A」の海水浴場に焦点を当てたランキングを作成しました。
このランキングでは、以下の順序で並べられています。
- 1位〜4位: 水質「C」に格付けされた4カ所の海水浴場を、CODの値が高い順に並べています。
- 5位〜141位: 水質「B」に格付けされた137カ所の海水浴場を、同様にCODの値が高い順に並べています。
- 142位〜272位: 水質「A」に格付けされた131カ所の海水浴場を、同じくCODの値が高い順に並べています。
ランキング中のCOD値は、複数回の測定における平均値が採用されています。また、一部の海水浴場では「海水浴場がある水域」の情報が未回答であったため、新潟県佐渡市のように「日本海」と仮定して記載されています。このランキングには、海のない地域の方々にも参考になるよう、一部の川や湖沼の水浴場も含まれています。
今年の夏、安全で快適な水辺のレジャーを楽しむためにも、ぜひこのランキングを参考に、訪れる予定の海水浴場の水質を事前に確認してください。水質情報は、あなたの健康と安全な水遊びに直結する重要な要素です。
参照元
- 環境省 全国水浴場水質調査結果(毎年公表)
- ダイヤモンド・オンライン 「水が汚い海水浴場ランキング2025」