BCAリサーチ予測:2025年景気後退60% S&P500は25%下落へ

ウォール街の多くが楽観視する中、BCAリサーチのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は逆行する弱気予測を提示しています。トランプ前大統領による関税停止後も、彼は依然として弱気の見通しを崩していません。貿易の不確実性、クレジットカードや自動車ローンの延滞率上昇、そして労働市場の弱体化を理由に、2025年における経済の減速を深く懸念しています。

景気後退と株価下落の具体的な予測

ベレジン氏は、以前は75%と見ていた景気後退の確率を60%に引き下げたものの、「必ず起きるとは思わないが、それでもありそうな展開だ」とBusiness Insiderに語っています。彼の予測が現実となれば、S&P500指数はおよそ4500まで下落し、現在の水準から約25%の大幅な下落を意味すると指摘しています。

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現在のS&P500指数はほぼ過去最高値で取引されていますが、ベレジン氏は、この大幅な下落を引き起こすにはそれほど多くの要因は必要ないと考えています。S&P500が4500まで下がるためには、株価収益率(PER)が18倍、そして1株あたりの純利益(EPS)が250ドルで取引される必要があります。現在、S&P500はPER約23倍、EPS約260ドルで取引されており、これらの数値と比較することで、彼の予測の背景にある具体的な調整が見えてきます。

弱気見通しの根拠となる経済的要因

ベレジン氏が経済の先行きを懸念する主な理由は複数挙げられます。第一に、貿易の不確実性です。国際的な貿易関係の不安定さは、企業収益やグローバルサプライチェーンに悪影響を及ぼし、経済成長を鈍化させる潜在的な要因となります。

第二に、クレジットカードや自動車ローンの延滞率の上昇が見られます。これは、消費者の財政状況が悪化している兆候であり、個人消費の減少に繋がりかねません。消費支出は経済の大きな柱であるため、その減速は景気後退リスクを高めることになります。

さらに、労働市場の弱体化も重要な懸念材料です。求人数の減少や賃金の伸び悩みは、家計所得の不安定化を招き、消費マインドを冷え込ませる可能性があります。表面上堅調に見える労働市場にも、潜在的な脆弱性が存在するとベレジン氏は指摘しています。

まとめと投資家への示唆

現在の市場に楽観論が広がる中、BCAリサーチのピーター・ベレジン氏の弱気予測は、投資家への重要な警告です。「現時点では、株式市場にも経済にも非常に楽観的になる理由を見つけるのは難しい」という彼の言葉は、市場参加者に潜在的なリスクと経済の脆弱性を慎重に見極めるよう促しています。この予測は、堅調に見える経済の裏に潜む、金融市場における潜在的なリスクに光を当てています。

参考資料

  • Yahoo!ニュース / Business Insider Japan (2025年7月25日): 「トップ市場ストラテジストが『2025年に株価が25%下落して景気後退に陥る』と予測する理由」