13歳の市川ぼたん、七月大歌舞伎「鬼平犯科帳」で熱演 – 才能開花と未来への期待

連日の猛暑が続く中、東京・東銀座の歌舞伎座は「七月大歌舞伎」で連日にぎわいを見せています。昼の部では市川團十郎白猿(47)を中心に、成田屋ゆかりの「新歌舞伎十八番」より「船弁慶」や「紅葉狩」など4演目が連続上演され、夜の部では池波正太郎原作の「鬼平犯科帳 血闘」が話題を呼んでいます。松本幸四郎(52)が祖父の初代松本白鸚さん、叔父の二代目中村吉右衛門さんから受け継いだ長谷川平蔵役を演じるだけでなく、構成と演出も手掛けているこの公演は、連日多くの観客で賑わっています。

13歳の市川ぼたん、「おまさ」役で観客を魅了

多くの話題作が並ぶ中で、ひときわ観客の熱い視線を集めているのが、市川團十郎の愛娘である13歳の市川ぼたんです。彼女はこれまでも父親の公演「藤娘」や襲名披露公演に出演し、幼い頃から舞台を経験してきました。現在上演中の「鬼平犯科帳 血闘」では、市川染五郎(20)が演じる若き日の平蔵に淡い思いを寄せる幼なじみの少女・おまさ役を務めています。旗本の侍である平蔵と居酒屋の娘であるおまさの身分は大きく異なり、その恋心が実ることはないという切ない設定です。

市川ぼたんの白塗り姿:七月大歌舞伎「おまさ」役での熱演を期待させる13歳の表現力市川ぼたんの白塗り姿:七月大歌舞伎「おまさ」役での熱演を期待させる13歳の表現力

大人びた少女像と豊かな表現力

おまさ役の市川ぼたんは、自身の恋心を抑え込むいじらしい少女を情感豊かな演技で表現し、多くの女性客の涙腺を緩ませています。酒におぼれ自暴自棄になる平蔵を時に叱りつけ、「もっと自分を大事にしないと駄目よ」と諭す姿は、13歳とは思えないほど大人びた少女像を描き出しています。このぼたんの出演は、松本幸四郎が父親の團十郎に直談判して実現したと言われています。幸四郎はぼたんの演技を「お客さんが入って飛び抜けた感じがする。どれだけステップアップするのか楽しみ」と絶賛しており、その将来性に大きな期待を寄せています。

小林麻央さんの面影と受け継がれる「芯の強さ」

市川ぼたんの母親は、タレントとしてだけでなく報道番組「NEWS ZERO」(日本テレビ系)のサブキャスターとしても活躍し、平成29年に34歳で惜しまれつつも逝去した小林麻央さんです。麻央さんが亡くなった当時、ぼたんは5歳、弟の市川新之助はわずか4歳でした。母の死から2年後の令和元年には、舞踊家として四代目市川ぼたんを襲名。令和5年には、中井美穂や倉本康子らが所属する芸能事務所「ブルーミングエージェンシー」に入所し、舞踊家としては「市川ぼたん」名義、それ以外の芸能活動では本名の「堀越麗禾(れいか)」として幅広く活動しています。今年4月にはTBS系のテレビドラマ「キャスター」で、主演の阿部寛(61)の娘役を好演。中学2年生として学業と芸能活動を見事に両立させている姿に、父の團十郎も「麻央に似て芯が強い。他に流されない強さがしっかりある」と、その成長に目を細めています。

まとめ:歌舞伎界の次世代を担う存在へ

七月大歌舞伎での市川ぼたんの熱演は、彼女が単なる有名人の娘ではない、確かな演技力と表現力を持った新進気鋭の女優・舞踊家であることを示しています。幼い頃からの舞台経験、そして困難を乗り越えてきた経験が、彼女の演技に深みを与えていることは間違いありません。松本幸四郎からの絶賛や、父・市川團十郎からの「芯の強さ」への評価は、彼女が歌舞伎界のみならず、日本のエンターテイメント界において次世代を担う存在となる可能性を強く示唆しています。今後の市川ぼたん、堀越麗禾の多岐にわたる活躍から目が離せません。

参考文献