環境省最新データ:日本の海水浴場水質ランキング、最も美しい海と湖は?

今年の夏も記録的な暑さが予想され、多くの人が海や川、湖での水遊びを計画していることでしょう。せっかく水辺に出かけるなら、安心して遊べるきれいな場所を選びたいものです。環境省が毎年実施している全国の水浴場水質調査の結果を基に、ダイヤモンド編集部が独自に作成した「水が最もきれいな海水浴場ランキング」から、今年の夏に訪れたい清らかな水辺を紹介します。

夏の海と白い砂浜のイメージ写真。透明度の高い海水浴場での安全なレジャーの様子を示す。夏の海と白い砂浜のイメージ写真。透明度の高い海水浴場での安全なレジャーの様子を示す。

環境省による水質調査の概要と評価基準

環境省は、国民が安全に水遊びを楽しめるよう、全国の海水浴場(川や湖沼の水浴場を含む)を対象に毎年水質調査を実施しています。202X年の調査では、日本全国759カ所の水浴場が対象となりました。この調査における水質の判定基準は、以下の4つの項目です。

  1. 化学的酸素要求量(COD): 水中の有機物による汚れの指標で、値が小さいほど水がきれいであることを示します。
  2. 糞便性大腸菌群数: 人や動物の排泄物による汚染の指標です。
  3. 透明度: 水の透明度を測るもので、高いほど水が澄んでいることを示します。
  4. 油膜の有無: 水面に油膜がないかを確認します。

これらの基準に基づき、全国の水浴場は水質のきれいな順に「適(AA、A)」、「可(B、C)」、「不適」の5段階で格付けされます。特筆すべきは、今年の調査では「不適」と判定された水浴場は一つもなかった点です。本稿のランキングは、最高位の「AA」と認定された471カ所の水浴場の中から、特に水質のきれいさを示すCODの値を用いて順位付けを行っています。

水質AAランク:トップを独占する沖縄恩納村と静岡沼津の秘密

今回の水質ランキングで栄えある1位に同率で輝いたのは、8カ所の水浴場でした。その内訳を見ると、沖縄県恩納村が「サンマリーナ」「タイガービーチ」「ルネッサンス」「万座ビーチ」の4カ所、秋田県仙北市の「田沢湖」が1カ所、そして静岡県沼津市が「千本浜」「大瀬」「平沢:らららサンビーチ」の3カ所を占めました。

恩納村の海水浴場は、これらトップに加えて「ムーンビーチ」と「リザンシーパーク」(いずれもCOD値0.6)が共に12位にランクインするなど、その水質の高さで他を圧倒しています。

また、静岡県沼津市も注目すべき地域です。1位獲得数は恩納村に及ばないものの、トップ10圏内には恩納村の4カ所を上回る5カ所がランクインしました。さらに、同じく沼津市の「三津」も12位(COD値0.6)に入るなど、調査対象となったすべての水浴場が上位に食い込む実績を見せています。これらの地域は、水質保全への取り組みが徹底されていることが伺えます。

海なし県の意外な健闘と「海あり県」の現実

興味深いことに、海に面していない都道府県の中にも、水質AAランクを獲得した水浴場があります。栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、岐阜県、奈良県といった「海なし県」は残念ながらAAランクゼロでしたが、長野県と滋賀県は湖沼で高評価を得ました。特に滋賀県は、琵琶湖から実に4カ所もの水浴場が選出されており、「海なし県」とは思えないほどの存在感を放っています。琵琶湖の豊かな自然が育む水の清らかさが際立つ結果と言えるでしょう。

一方で、滋賀県の4カ所を下回った「海あり県」も存在します。宮城県はわずか1カ所、富山県は3カ所でした。琵琶湖と同じく4カ所がランクインしたのは、佐賀県、高知県、愛知県です。

さらに驚くべきは、海に面しているにも関わらず、香川県と大阪府はAAランクの水浴場がゼロだった点です。「海があるからといって、必ずしも最高水準のきれいな水で遊べるわけではない」という現実がこのランキングから見えてきます。地域の環境保全意識や地理的条件が水質に大きく影響していることがわかります。

まとめと安全な水遊びへの注意喚起

今回の環境省データに基づく水質ランキングからは、日本の水浴場が全体的に高い水質を保ちつつも、地域による差が明確に浮き彫りになりました。特に沖縄県恩納村や静岡県沼津市の海水浴場、そして滋賀県の琵琶湖の水浴場は、その清らかさで群を抜いています。夏のアウトドアレジャーを計画する際には、これらの情報を参考に、より安全で快適な水辺を選ぶ一助としてください。

なお、最もAA認定された海水浴場が多かった都道府県ランキングについては、7月28日に公開される「水がきれいな海水浴場が多い都道府県ランキング2025」で確認できます。7年連続で首位を獲得している絶対王者の県がどこなのか、本稿と併せてご覧いただくことで、より多角的な視点から海水浴場選びを楽しめるでしょう。

最後に、全国で水難事故が相次いでいることにも触れておきたいと思います。海や川、湖で遊ぶ際には、天候や熱中症に十分注意し、ライフジャケットの着用や監視員のいる場所での遊泳など、安全への配慮を最優先に楽しんでください。

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