今回の参議院選挙で注目を集めた参政党は、東京選挙区でのさや氏の当選を含む選挙区7議席、比例区7議席を獲得しました。非改選の神谷宗幣代表を加え、参議院で計15議席を有するに至り、単独での法案提出が可能となるなど、その影響力は無視できないものとなっています。しかし、選挙期間中の同党の言動に対しては強い批判も寄せられました。神谷代表はこれらの疑問にどう答え、国会で何を目指すのでしょうか。参院選投開票日翌々日に行われた神谷代表へのインタビューを通じて、その真意を探ります。
国会での最優先課題:コロナ対策検証とスパイ防止法
神谷代表は、参議院で15議席を得て国会での影響力が増した今、まず取り組むべき課題として二点を挙げました。一つ目は、新型コロナウイルスのパンデミック対策が果たして正しかったのか、特にその経済的な側面、すなわち11兆円に上る予備費の使途不明金を検証することです。検証法案の提出を通じて、過去の過ちがあれば指摘していく方針を示しています。
もう一つは、スパイ防止法の制定です。神谷代表は将来的な米軍の日本撤退を主張しつつも、現状の日米同盟の重要性を認識しており、イギリス、オーストラリア、インドなどの国々と連携し、中国やロシアに対峙する必要性を強調します。これらの連携を円滑に進めるためには、厳格な情報管理が不可欠であり、国家機密の漏洩や売却に対する対策強化が必要であるとの考えを示しました。
参議院選挙後にインタビューに応じる参政党の神谷宗幣代表。今後の国会での活動や政策について説明する様子。
「思想統制」発言の真意と内心の自由
神谷代表は選挙戦中、「極端な思想の公務員は辞めてもらうべきだ。これを洗い出すのがスパイ防止法だ」と発言し、一部から「思想統制に繋がるのではないか」との批判を受けました。この点について神谷代表は「言葉足らずだった」と釈明し、思想統制を意図するものではないと強調しました。
氏は、国家転覆やクーデターの企てに対処する必要性は認めつつも、既存の破壊活動防止法では不十分な部分があるため、その枠を広げた法整備が必要であるとの趣旨を説明しています。これは外国で適用されている基準と同程度のものであり、特段踏み込んだ内容ではないと主張。むしろ思想チェックには反対の立場であり、SNS規制も認めていないとし、「内心は自由であり、国家権力がそこまで踏み込むのはディストピアだ」と、個人の自由の重要性を訴えました。
記者会見での問題と「知る権利」への影響
神谷代表が「思想統制に踏み込むつもりはない」と釈明した同日、参政党が開催した記者会見では、同党に対して批判的な論調で報道していた神奈川新聞の記者が退場を求められる事態が発生しました。これに対し、神奈川新聞は翌日、参政党に対し「知る権利をないがしろにする行為」であると抗議文を提出しました。
一方、参政党側は、当該記者の選挙期間中の取材行動を「妨害行為」とみなし、そのために入場を断ったと公式サイトで説明しています。この一件は、言論の自由や報道機関の「知る権利」と、政党の運営方針の間の緊張関係を浮き彫りにする形となりました。
結論
今回の参院選での躍進により、参政党は国会で単独での法案提出が可能となるなど、政治的影響力を大きく高めました。神谷宗幣代表は、新型コロナ対策の検証やスパイ防止法の制定を今後の主要な政策課題として掲げ、その実現に向けた意欲を示しています。一方で、「思想統制」発言に関する釈明や、記者会見での記者排除問題など、同党の言動が社会的な議論や批判を呼ぶ側面も明らかになりました。参政党が今後、その政治的影響力をどのように行使し、これらの議論にどう向き合っていくのか、その動向が注目されます。