麻原彰晃次男・璽暉氏、「アレフのグル」に認定:地下鉄サリン事件30年後の新展開

14人が死亡し、6000人以上が負傷した未曽有のテロ、地下鉄サリン事件から30年が経過しました。この事件を引き起こしたオウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(執行時63歳)の「後継者」として、次男である璽暉(ギョッコウ)氏(31歳)の動向に再び注目が集まっています。公安調査庁が璽暉氏を「グル(宗教指導者)」と認定したことで、彼の素顔とアレフの現状が改めて浮き彫りになりました。

越谷市での生活と極秘捜索の実態

璽暉氏と彼の母親(麻原の妻、66歳)が埼玉県越谷市内のマンションに引っ越してきてから14年が経過しました。マンションの住民は彼らの生活について、「部屋から物音はほとんどせず、外出も日中を避け、いつも夕方以降に二人一緒だった」と証言しています。息子が働いている様子や学校に通っている様子は見られなかったことから、近隣住民の間では「引きこもりではないか」という見方もあったようです。

このマンションの一室に対し、埼玉県警は4月中旬に極秘の家宅捜索を実施しました。大手紙社会部記者によると、この捜索は、公安調査庁が今年3月以降、団体規制法に基づく立ち入り調査を拒否されたことを受け、同庁が検査妨害で告発したことがきっかけでした。県警はこの告発に基づき、捜査に踏み切ったのです。

室内に現金数千万円を保管:アレフとの関連

家宅捜索の際、関係者を驚かせたのは、室内の複数箇所から小分けにして保管された数千万円もの現金が発見されたことでした。捜査関係者は、この現金がオウム真理教の主流派後継団体である「アレフ」から提供された資金である可能性が高いとみています。

別のマンション住民の証言では、母親は外出時、常にツバの広い帽子で顔を隠していましたが、息子である璽暉氏は警戒する様子もなく、マスクも着用せずラフな格好で外出することが多かったとのことです。彼は小太りで身長170センチ程度。「あいさつしても無言で会釈を返すだけで、いわゆるひきこもりだと思っていました」と住民は語っています。

オウム真理教の教祖、麻原彰晃元死刑囚オウム真理教の教祖、麻原彰晃元死刑囚

璽暉氏が「グル」を自称:公安調査庁の認定と麻原の指名

公安関係者によると、過去に麻原の妻が次男をアレフに復帰させようとした際、幹部信者らが反発し、その結果、対立した幹部信者らが次々と追放される事態が発生していました。

そして2024年7月22日、公安調査庁は璽暉氏が「グル=宗教指導者」を自称し、アレフにおいて主導的立場にあることを初めて認定しました。これは、団体規制法に基づく監視の対象であるアレフの現体制と璽暉氏の役割を公的に認めた画期的な動きと言えます。

一方、麻原彰晃は逮捕前の説法で、次男を「チベット仏教の高僧『パンチェン・ラマ』の生まれ変わり」だと語っていました。逮捕後も獄中からのメッセージで、「リンポチェ(転生仏)猊下」との称号を与えるなど、事実上、自分の後継者に指名していたとされています。これらの経緯が、公安調査庁の今回の認定に繋がったと考えられます。

アレフの組織規模と「資産隠し」の疑惑

現在、アレフの信者数は1200人を超えるとされています。保有資産も推定で約8億円に上り、その原資はお布施や信者が支払う会費、セミナー参加費などが主なものです。さらに、不動産賃貸業などを営む関連法人を複数所有しており、現在も活発な経済活動を行っています。

しかし、公安調査庁は、アレフが2020年以降、収益事業に関する同庁への報告において一部を秘匿するなど、意図的な「資産隠し」を続けていると指摘しています。これは、団体の活動実態を隠蔽しようとする動きの一端であり、今後の監視体制に影響を与える可能性があります。

結び

地下鉄サリン事件から30年という節目を迎え、オウム真理教の後継団体アレフにおける麻原彰晃次男・璽暉氏の「グル」としての立場が公的に認定されたことは、この問題の根深さを示しています。数千万円もの現金が発見されたことや、継続的な「資産隠し」の疑惑は、アレフが依然として社会に与える影響と、その不透明な活動実態を浮き彫りにしています。公安調査庁による監視は今後も続き、その動向は日本の安全保障上、極めて重要な意味を持つでしょう。


参考文献:

  • 週刊新潮 (Daily Shincho)
  • Yahoo!ニュース (news.yahoo.co.jp)
  • 関係省庁の発表
  • 大手紙社会部記者による情報