2003年6月20日、福岡市で発生した「福岡一家4人殺人事件」は、幼い子ども2人を含む親子4人が犠牲となり、その遺体が博多港に遺棄された凄惨な事件です。この凶悪な事件は、福岡県内の大学や専門学校に通っていた中国人留学生3名によって引き起こされました。事件の全容解明に向けた捜査が進む中、2004年3月23日に福岡地裁で開かれた元専門学校生・魏巍(ウェイ・ウェイ)被告の初公判において、検察側は犯行の準備状況について詳細に明かしました。
海中への遺体遺棄、当初の計画と変更点
検察側の冒頭陳述によると、被告人・魏巍、王亮(ワン・リァン)、楊寧(ヤン・ニン)の3名は、事件発生前の段階から遺体の遺棄場所について周到な計画を立てていました。当初、彼らは被害者宅を下見した後、遺体を埋める場所を探すため福岡市城南区方面の山中を探索。しかし、道に迷い、また被害者家族全員分の遺体を埋めるための大きな穴を掘ることが困難であると判断し、山中への埋葬を断念しました。
福岡一家4人殺人事件の元死刑囚、魏巍の肖像
この方針変更により、3名は遺体を重りをつけて海中に投棄することを決定。同日中には福岡市東区箱崎ふ頭を自転車で下見し、そこを遺体遺棄場所とすることに決めました。さらに、被害者の乗用車(ベンツ)の処分方法や、遺体に使用する重りについても協議を重ね、ベンツは遺棄場所から遠く離れた場所に放置すること、そして重りにはダンベルを使用することを取り決めていました。
決め手となったダンベル購入の経緯
遺体を海に沈めるための重りとして、王亮はすでに用意していた手錠2個だけでは不十分だと判断。2003年6月18日、福岡市東区内の量販店で、新たに手錠2個と重量5キログラムのダンベル2個を組み立てられるダンベルセット2セットを購入しました。そして同日、魏巍が王亮宅において、購入したダンベルセットからすべての重りを1本の心棒に取り付け、重さ約9.5キログラムのダンベル合計2個を組み立てたことが明らかになりました。このダンベル購入時の防犯カメラ映像が、王亮の特定、ひいては事件解明へと繋がる重要な手がかりとなった点は注目に値します。
この事件の計画性の高さと、遺体遺棄に至るまでの綿密な準備が、公判での冒頭陳述によって浮き彫りになりました。単なる突発的な犯行ではなく、被害者の生命を奪った後の処理までが冷酷に計画されていたことが示され、事件の残忍性を改めて印象付ける内容となりました。
参考文献
- 文春オンライン:〈「枕に顔を押しつけたが…」子ども部屋の兄妹を締め付け殺害、両親も手錠で結束し海に遺棄…元死刑囚の中国人留学生が犯行に至った経緯〉他