世界各地で猛暑が猛威を振るう中、米国西海岸、特にサンフランシスコ湾岸地域では異例の「寒い夏」が続いています。この現象は、記録的な低気温を伴い、観光客を驚かせています。通常とは異なる気象パターンが、この地域の夏の常識を覆しています。
米国サンフランシスコ、異例の「寒い夏」を示す濃い霧に覆われたゴールデン・ゲート・ブリッジ
サンフランシスコ湾岸地域の記録的低温
米国気象庁(NWS)サンフランシスコ湾地域支所は7月27日(現地時間)、この地域の今年6月から7月の日中最高気温が歴史的に低い水準を記録したと発表しました。NWSによると、サンフランシスコ市内で「夏がこれほど寒く始まった最後の時期」は1982年で、サンフランシスコ国際空港(SFO)では1965年でした。これにより、今夏のサンフランシスコ市内は43年ぶり、SFOは60年ぶりに日中最高気温の平均値が最も低くなっています。
韓国系住民が多い南部サンノゼ地域でも、1999年以来26年ぶりに最も低い気温を記録しました。地元紙ロサンゼルス・タイムズ(LAタイムズ)の報道によれば、サンフランシスコ市内の7月平均気温は摂氏15.2度、サンノゼの平均気温は摂氏19.7度でした。また、サンフランシスコ湾東部地域のオークランドでは、今月に入って摂氏23.9度以上に上がった日がわずか1回だけでした。これは、今年2月に同程度の気温が3回記録されたのと比べると、この夏が過去の冬よりも寒いことを示しています。
気象学者が語る異例の気象パターン
この「寒い夏」の現象について、気象学者マット・メレ氏は、カリフォルニアに通常暑い天気をもたらす季節性高気圧システムが今年は平年とは異なる配置になっていると説明しています。この気圧配置のずれにより、太平洋沿岸北西部とカリフォルニア上空に低気圧システムが滞留し、結果として雲が広がり、気温が低下したとされています。これは、地球規模での気候変動が地域的な気象パターンに影響を与えている可能性も示唆しています。
観光客への影響と今後の見通し
予想外の真夏の「寒い天気」に、この地域を訪れた観光客たちは驚きを隠せず、ジャンパーやマフラーなどの防寒具を購入するために予期せぬ出費を強いられていると地元メディアは伝えています。
一方、南カリフォルニアのロサンゼルス(LA)一帯でも、昨夏よりはるかに穏やかな気温が続いています。LAでは、6月中旬に数日間30度を超える暑さが一時的に見られた後、これといった猛暑は訪れていません。しかし、気象学者たちは「夏はまだ終わっていない」とし、8月からは気温が急上昇する可能性に備えるべきだと警告しています。
対照的に、米国北東部地域には現在、猛暑警報が発令されており、ニューヨークの一部地域では前日、最高気温が30度を記録し、湿度を反映した体感熱指数は約38度に達するなど、地域による気象状況の大きな差が見られます。
結論
米国西海岸で続く異例の「寒い夏」は、過去数十年にない記録的な低気温をもたらし、観光客にも影響を与えています。この現象は、季節性高気圧システムの配置異常と低気圧の滞留が原因とされています。世界各地が猛暑に見舞われる中で、地域によっては気象状況が大きく異なる現状が浮き彫りになっており、今後の気象パターンの変化に引き続き注目が必要です。
参考文献
- 米国気象庁(NWS)サンフランシスコ湾地域支所
- ロサンゼルス・タイムズ
- AFP=聯合ニュース (画像提供)