ニューヨーク市長選:クオモ氏の「再挑戦動画」がSNSで物議、マムダニ氏の反応に注目

米ニューヨーク市では、11月の市長選が大きな注目を集めています。特に、元州知事のアンドリュー・クオモ氏の動向は多くの関心を集めており、6月の民主党予備選で若手候補のゾーラン・マムダニ氏に予想外の大敗を喫した後も、その政治的影響力が議論の的となっています。先日、クオモ氏が“再挑戦”を訴える動画を自身のSNSに投稿し、その内容と世間の反応がソーシャルメディア上で広く拡散され、物議を醸しています。

元知事クオモ氏、民主党予備選での予想外の敗北

2025年6月下旬に行われたニューヨーク市長選の民主党予備選において、元ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏は、若手候補であるゾーラン・マムダニ氏に敗れ、民主党の公認を失いました。これは多くの政治アナリストにとって予想外の結果であり、クオモ氏の政界復帰への道は極めて厳しい状況に追い込まれたと見られていました。しかし、クオモ氏は予備選敗北後も選挙戦からの撤退を否定し、無所属候補としての11月の本選挙への出馬継続を表明しました。

「勝つために出馬する」:SNS動画で再挑戦を表明

クオモ氏は7月15日、自身のSNSに「勝つために出馬する(In it to win it)」と題する動画を投稿し、選挙戦を続ける強い姿勢を改めて示しました。動画の中でクオモ氏は、6月の予備選で自身に投票してくれた44万人を超える有権者に深く感謝の意を述べるとともに、「皆様の期待に応えられず申し訳ない」と敗北に対する謝罪の言葉を述べました。さらに、対立候補であるマムダニ氏に対しては、「耳障りの良いスローガンばかりで、具体的な実行可能な解決策がない」と批判を展開しました。動画の最後には、「ニューヨーク市のために、毎日街頭に立って皆さんの声を直接聞きます。良いことも悪いことも受け止めます。街でお会いしましょう」と市民に直接語りかける形で、支持を呼びかけました。

ニューヨーク市長選への再挑戦を表明した元州知事アンドリュー・クオモ氏ニューヨーク市長選への再挑戦を表明した元州知事アンドリュー・クオモ氏

“台本っぽい”との批判と冷ややかな世間の反応

しかし、クオモ氏がSNSに投稿した動画に対する世間からの反応は、総じて冷ややかなものでした。ソーシャルメディア上では、「なんか台本っぽい」「見せ方が良くないと思う」「返信欄をスクロールしてもポジティブな反応が一つも見つからないけど……」といったコメントが多数寄せられ、動画の演出が不自然で、意図的に作られた印象を与えるという批判的な意見が散見されました。このようなネガティブな反応は、クオモ氏が直面している支持回復の難しさを示唆しています。

対立候補マムダニ氏の巧みな対応と影響力

クオモ氏の動画投稿に対し、対立候補であるゾーラン・マムダニ氏は、非常に簡潔かつ効果的な対応を見せました。彼はクオモ氏の投稿に直接返信する形で、自身の資金調達ページのリンクのみを掲載しました。この一見シンプルな行動がSNS上で大きな反響を呼び、マムダニ氏のリプライには18万件を超える「いいね」がつけられました。これはクオモ氏本人の動画投稿に対するエンゲージメント数を大幅に上回るものであり、マムダニ氏の戦略的なメディア活用能力と、若手政治家としての影響力の高さを明確に示しました。この出来事は、今後のニューヨーク市長選の行方を占う上で重要なポイントとなるでしょう。

まとめ

ニューヨーク市長選は、元州知事アンドリュー・クオモ氏の再挑戦と、若手候補ゾーラン・マムダニ氏の台頭によって、予想以上に激しい展開を見せています。クオモ氏がSNSを通じて巻き返しを図るも、そのメッセージは世間に受け入れられず、逆にマムダニ氏がソーシャルメディアを巧みに利用して自身の存在感と支持を拡大する結果となりました。この一連の動きは、現代政治におけるSNSの影響力と、有権者の変化する期待を浮き彫りにしています。今後の選挙戦の動向は、米国政治、特にニューヨークの未来に大きな影響を与えることでしょう。

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