トルコの猛暑、50度超で電気代高騰…住民が政府に補助求める声

トルコ南東部では記録的な猛暑が続き、最高気温が50度を超える事態となっています。これに伴い、エアコンの使用が急増し、高額な電気代に直面する住民たちが、政府に対し緊急の電気代補助を求めています。この異常気象は、地域住民の生活に大きな負担をもたらしており、早急な対策が求められています。

観測史上最高の50.5度を記録

トルコ南東部のシロピ地区では7月25日、国内観測史上最高となる50.5度を記録しました。これは、これまでの最高気温(2023年8月の49.5度)を更新する異常な数値です。同地区で30年ほどアイスクリーム職人として働く59歳のレジェップ・エシヨクさんは、AFPの取材に対し「この暑さには耐えられない。こんな暑さは経験したことがない」と語り、猛暑の過酷さを訴えました。エシヨクさんは店のエアコンで何とか猛暑を乗り切っているものの、先月の電気代が5万9000リラ(約21万6000円)に達したと明かし、「政府にこの問題への支援を求めている」と窮状を訴えました。

トルコ南東部シロピ地区で猛暑の中、日陰で休息を取る店主たち。記録的な熱波と電気代高騰に直面する住民の様子。トルコ南東部シロピ地区で猛暑の中、日陰で休息を取る店主たち。記録的な熱波と電気代高騰に直面する住民の様子。

気候変動と熱波の長期化

科学者たちは、人間活動による化石燃料の燃焼が引き起こす気候変動が、熱波の発生確率、期間、そして強度を増大させているという点で一致しています。地元記者のハリル・コスクンさん(52)は、「気温が上がり、例年とは比べものにならないほどの暑さになっている」と現状を分析しています。トルコ気象局によると、7月27日以降も気温は例年より6度から12度高い状態が続いており、熱波が長期化する見込みです。

森林伐採が猛暑を悪化させる一因に

シロピの町では、山のふもとにあるにもかかわらず、周囲に涼しさをもたらす森林が不足していることへの不満の声も上がっています。コスクンさんによると、過去に治安上の理由から、この地域の森林は焼かれたり伐採されたりしてきたといいます。特に、近年武装解除した非合法組織クルド労働者党(PKK)の戦闘員を捜索するため、トルコ軍が森林を伐採した経緯があります。さらに、トルコ議会は今月、広範な反対にもかかわらず、オリーブ畑を含む特定の農地を鉱業活動に開放する法案を可決しました。コスクンさんは、「木を伐採するのではなく、植えることで少なくとも暑さを軽減できる」と、植林の重要性を強調しました。

エアコンは「パンや水と同じ」必需品に

ケバブ店で働く地元住民のジェミル・セヘルさん(51)は、シロピの夏は3か月どころか5か月も続くと語ります。セヘルさんにとって、エアコンはもはやぜいたく品ではなく、生活に不可欠な必需品となっています。「ここでは、エアコンはパンや水と同じくらい欠かせないものだ」と述べ、その重要性を力説しました。しかし、「エアコンを稼働させると電気代がものすごく高くなる」と続け、当局に対し事業者向けの割引を要求しました。セヘルさんは、「シロピだけでなく、ここから東部のシャンルウルファまで、地域全体で割引をしてほしい」「電気代を払うために働いているようなもので、利益は出ていない」と、地域全体の経済的苦境を訴えました。

トルコ南東部を襲う記録的な猛暑は、住民の生活に直接的な打撃を与え、特に高額な電気代が深刻な問題となっています。住民たちは、エアコンが生命維持に必要なインフラと化している現状において、政府による緊急の電気代補助が不可欠だと訴えています。気候変動による熱波の長期化に加え、過去の森林伐採や新たな土地利用政策も地域の環境と生活に影響を与えており、包括的な対策が求められています。

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