【北京=三塚聖平】中国税関総署が8日発表した11月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比1・1%減の2217億4千万ドル(約24兆1千億円)で4カ月連続のマイナスだったのに対し、輸入は0・3%増の1830億1千万ドルと7カ月ぶりにプラスに転じた。11月の対米輸入は3%増と1年3カ月ぶりにプラスとなっており、米国からの輸入拡大が影響している。
米中両首脳による署名を目指す貿易協議の「第1段階」の部分合意に関する協議が進められている中で、中国が米国からの輸入を増やしているとみられる。トランプ米大統領は中国による輸入拡大を重視する姿勢を見せている。
それに対して対米輸出は23%減と、10月(16%減)から減少幅を大きく広げている。米国は9月1日に「第4弾」の一部として中国からの輸入品1120億ドル分に対する15%の追加関税を発動しており、貿易戦争の拡大が中国の対米輸出の足を引っ張っているとみられる。
一方、1~11月の対米貿易総額は、前年同期比15・2%減の4944億5350万ドル。輸入は23・3%減で、輸出は12・5%減とともにマイナスが続いた。1~11月の対米貿易黒字は7%減少し、2724億ドルだった。
輸出では米国向けが大きく悪化する中で、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは伸びていると中国メディアは強調する。1~11月のASEAN加盟国向けの輸出は前年同期比11・5%増だった。大規模な抗議デモが続く香港向けの輸出は8・6%減だった。
中国の貿易をめぐっては米国向けを中心に輸出の落ち込みが続いており、米国との貿易協議の行方が今後を左右するという状況に変わりはない。米国は今月15日に「第4弾」対中関税の残り約1600億ドル分の発動を予定する。発動期限が目前に迫る中で、米中両政府によるやり取りは活発になっている。