米国の自動車大手フォード・モーターは、2025年4~6月期の決算を発表し、純損益が3600万ドルの赤字に転落したことを明らかにしました。これは、トランプ米政権による高関税政策が8億ドル(約1200億円)もの打撃を与えたこと、およびリコール(回収・無償修理)に伴う費用がかさんだことが主な要因です。一方で、値引きキャンペーンが奏功し、売上高は前年同期比5%増の502億ドルとなりました。
フォード・モーター本社前の看板とロゴ。米国の自動車産業における関税政策の影響を示す背景。
CEOファーリー氏の見解と関税政策の影響
フォードのファーリー最高経営責任者(CEO)は同日、米テレビのインタビューに応じ、トランプ政権が日本と欧州連合(EU)に対する自動車関税を15%としたことについて、「不利益は受けていない」と説明しました。むしろ、米国に輸入する部品の関税が引き下げられたことで、1台当たり5000~6000ドルのコスト圧縮につながるとの見方を示し、これを歓迎する姿勢を見せました。
しかしながら、ファーリーCEOは、政権に対し「何層にも重なった関税」を簡素化するよう働き掛けていると強調しました。これは、貿易政策の複雑さが企業活動に与える負担を懸念していることを示唆しています。
国内生産比率と競合他社との比較
フォードは、米国内で販売する自動車に占める国産比率が約8割と高く、競合のゼネラル・モーターズ(GM)の約半分と比較しても、その差は顕著です。この高い国内生産比率が、特定の輸入関税による直接的な影響を限定的にしている側面もありますが、部品調達におけるグローバルなサプライチェーンへの関税の影響は避けられない課題となっています。
結論
フォードの2025年第2四半期決算は、世界的な自動車産業における保護主義的な貿易政策、特にトランプ政権下の関税が企業業績に与える複雑な影響を浮き彫りにしました。売上は増加したものの、関税コストとリコール費用が純損益を圧迫し、赤字転落という結果になりました。今後も、各国の貿易政策が自動車メーカーの経営戦略に与える影響は注視されるでしょう。
参考資料
- 時事通信社 (Jiji Press) – https://news.yahoo.co.jp/articles/d1dcf0233726302a9adbc68a75db4a0e55d511fc