米トランプ氏、雇用統計「不正操作」と労働統計局長解任指示

【ワシントン】ドナルド・トランプ前米大統領は1日、自身のソーシャルメディア(SNS)上で、米労働省のエリカ・マッケンターファー労働統計局長を解任するよう指示したと発表しました。これは、同日朝に発表された7月の米雇用統計が下方修正され、労働市場の冷え込みが示されたことに対し、数字が「政治目的で不正に操作された」と非難したものです。

解任要求の背景:7月雇用統計の下方修正

今回の解任指示の直接的な引き金となったのは、米国労働省が発表した7月の雇用統計です。この統計では、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数が前月比7万3000人増に留まりました。さらに注目すべきは、過去の数値が大幅に下方修正された点です。具体的には、5月分の伸びが当初の14万4000人から1万9000人へ、6月分も14万7000人から1万4000人へと、それぞれ大幅に修正されました。過去の雇用統計がこのように大きく修正されること自体は、統計処理上珍しいことではありませんが、トランプ氏はこれを問題視しています。

マッケンターファー局長の任命経緯

エリカ・マッケンターファー氏は、2023年にジョー・バイデン前大統領(当時)によって労働統計局長に指名され、2024年1月に議会で承認されていました。トランプ氏は、今回の解任指示について、彼女がバイデン政権の「政治任命者」であることを強調しています。

トランプ氏の主張と根拠の欠如

トランプ氏はSNSへの投稿で、「正確な雇用統計が必要だ」と述べ、バイデン前大統領が任命した局長を即時解任するようチームに指示したと明かしました。また、今回の雇用統計について、「共和党と私の評判を落とすために不正に操作された」と主張しています。しかしながら、この「不正操作」という主張に対する具体的な根拠は、現時点では一切示されていません。今回の解任指示は、来年に控える米大統領選挙に向けた動きの一環としても注目されています。

雇用統計の不正操作を主張し、労働統計局長の解任を指示したトランプ前米大統領の肖像雇用統計の不正操作を主張し、労働統計局長の解任を指示したトランプ前米大統領の肖像

米国における主要な経済指標の一つである雇用統計を巡る今回の騒動は、政治と経済の複雑な関係を浮き彫りにしています。トランプ氏の主張の真偽と、今後の労働統計局の動向が注目されます。


参考資料