台風15号の初動段階で大きな問題となった千葉県と市町村の連携の課題が解消しつつある。県市長会と県町村会が先月11日に申し入れた60項目の要望に県も対応しつつ、一般会計総額498億6600万円の令和元年度12月補正予算案を編成して、復旧・復興の支援を本格化させる。対応を検証する県の有識者会議の議論も進むなか、県の具体的な再発防止策が注目される。
県市長会会長の清水聖士・鎌ケ谷市長と町村会会長の岩田利雄・東庄町長らが県庁で先月11日、森田健作知事に要望書を手渡した。要望書は、台風15号や台風19号、10月25日の記録的大雨など「近年の異常気象が大きな災害を引き起こしている」と指摘。県に災害対策の強力な施策推進と総合的な支援を求めた。
ただ、台風15号上陸直後の県の初動では、停電により通信網が遮断された上、被災した住民対応に負われる市町村への県の支援の不十分さが明らかになった。県職員の派遣が国よりも遅れたり、備蓄物資を一部の市に県の防災倉庫まで受け取りに来るように告げるなど、ちぐはぐな対応が次々と明らかになり、一部の市町からは不満の声があがっていた。
その反省を踏まえ、市長会や町村会は、災害発生時に物的支援を早期に行うことや県職員の派遣体制の充実、県の役割明確化を要求。すでに被災した地域の住民へは県が主体となって行う復旧・復興事業の早急な開始、倒木による停電の未然防止のため、県と東京電力などが森林整備に関する包括的な協定を結ぶことなども求めている。
県は要望への対応を進めるとともに、一部の政策は令和元年度12月補正予算案で財源を確保して対応。
台風15号で約6万1千軒の被害が出た一部損壊住宅への修理費用で最大50万円の支援や、農業用ハウスの修繕や撤去に際し、事業者の負担を1割とする補助制度や国の補助対象とならない漁業協同組合の施設への助成金などを盛り込んだ。
異常気象で大規模な風水害に見舞われるリスクが高まる中、県には復旧・復興の加速化と来年の台風シーズンまでに具体的な再発防止策の策定が求められる。