飲み会や会合の誘いを受けた際、「行けたら行く」と返事をする人は、実際に参加しないと理解されているため、幹事にとっては対処しやすいものです。しかし、より厄介なのは、「行く」と明確に伝えていたにもかかわらず、集合の数時間前になって急遽「仕事が終わらない」「体調が悪い」といった理由でキャンセルする、いわゆる「ドタキャン」を行う人々です。この行為は、主催者や他の参加者に多大な迷惑と負担をかけるだけでなく、長期的に人間関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
頻発するドタキャン:実際のケースから見る問題点
筆者の知人のケースに、頻繁なドタキャンを繰り返す30代独身女性のAさんがいます。彼女は学生時代からの友人グループ(6人)の一員で、年に数回行われる会合に毎回「参加できます」と迅速に返答し、複数提示された日程に対しても参加可能な日を正確に伝えていました。しかし、驚くべきことに、Aさんはその会合を連続で8回もドタキャンしたのです。キャンセル理由は「仕事が終わらない」「発熱」「決算期で多忙」「足がつった」「後輩のミス対応」など、多様なバリエーションに富んでいました。
流石にグループ内でも5回目のドタキャン以降は、不満やモヤモヤを感じるメンバーが多数いたようです。結果として、Aさんを除いた5人での裏LINEグループが作成され、「もうAさんを誘うのはやめようか」という意見が出ました。それでも「とりあえず声はかけ続けよう」という結論に至り誘いは続けたものの、その後も3回のドタキャンが続きました。最終的に、裏LINEグループではAさんを今後の会合に誘わないことが決定されたのです。
頻繁なドタキャン通知がスマートフォン画面に表示され、困惑する様子
「行きたくない」が招く行動:ドタキャンする側の心理と周囲の認識
表向きのLINEグループではAさんを完全に外すことはしませんでしたが、このグループで飲み会の相談がされることはなくなり、今後は裏LINEグループの5人のみで調整を行うことになりました。Aさんが自ら誘うか、幹事を務める場合にのみ、表グループで相談するという共通認識ができたのです。
確かに、「直前になって急に行く気が失せる」という感情や、「本当は行きたくないのに、人間関係を円滑にしようと『行ける』と言ってしまい、後で後悔する」といった経験は誰にでもあるかもしれません。それはある程度仕方のないこととも言えます。しかし、8回連続という頻度は、もはや「ドタキャン黒帯」と呼べるほど、極めて異例な状況です。
この手のドタキャン問題の本質は、「来たくないなら無理に来なくていい」という周囲の人々の本音にあります。参加できない状況であるならば、「今は飲み会に参加できる状況ではない」とか、「8月は予定が不確定なので約束は難しい」といった、たとえ適当な理由でも構いませんので、早めに、そして明確に断ってほしいのです。むしろ、「あと10年は飲み会には参加できません」といった、豪快な断り方をしてくれた方が、主催者側としてははるかに助かる、と感じているのが実情でしょう。
まとめ:信頼関係を損なわないコミュニケーションの重要性
繰り返されるドタキャンは、単なる約束の破棄以上のものです。それは、誘った側の計画や期待を裏切り、時間や労力を無駄にさせるだけでなく、最終的には人間関係における信頼を大きく損ねます。特に、具体的な理由が不明確であったり、緊急性が低いと思われる理由が繰り返されたりする場合、相手への配慮が欠けていると受け取られかねません。良好な人間関係を維持するためには、行けないと分かった時点で正直に、そして迅速に伝えることが何よりも重要です。これにより、相手は代替案を検討したり、別の調整を行ったりすることができ、お互いのストレスを軽減し、より健全なコミュニケーションを築くことができるでしょう。