人材サービスのエン・ジャパン(東京)が実施した「転勤に関する実態調査」により、20~30代の若手社員の6割以上が「転勤をきっかけに退職を考えたことがある」と回答していることが明らかになった。この結果は、若い年代層ほど転勤に対する抵抗感が大きい傾向にあることを示している。
転勤経験の有無と世代・性別の傾向
この調査は、同社が運営する転職サイト「エン転職」のユーザーである男女2303人を対象に、6月に実施された。
「これまでに転勤をしたことはあるか」という問いに対しては、全体の20%が「ある」と回答。年代別に見ると、20代ではわずか5%だったのに対し、40代以上では25%と、世代による転勤経験の差が浮き彫りになった。また、性別では男性の32%が転勤経験を持つ一方、女性は7%にとどまり、男性に比べて女性の転勤経験が著しく少ないことが示された。
日本の都市部を歩く会社員。転勤に対する若手社員の抵抗感を象徴する風景
転勤をきっかけとした退職意向の実態
「転勤をきっかけに、退職を考えたことはあるか」との問いには、実際に転職したと回答したのが12%、考えたことがあると回答したのが32%となった。具体的な退職理由としては、「転勤先での待遇が事前の説明と異なり、不利益を被った」「転勤を断ったところ、待遇が悪化した」といった、待遇面での不満や不利益が挙げられている。
今後の転勤辞令に対する「退職検討」意向
さらに、「今後、転勤の辞令が出た場合、退職を検討するきっかけになるか」という質問に対しては、20代の66%、30代の67%が「なる」または「ややなる」と回答した。性別では、男性が52%であったのに対し、女性は65%と、女性の方が転勤に対する抵抗感がより強いことが示された。
退職を検討する理由としては、「転勤してまで仕事を続けたいとは思わない」「子供の転校、転園はさせたくない」といった家庭やライフスタイルへの影響を懸念する声が多く聞かれた。また、「地方であれば退職を検討する」といった、転勤先の地域による判断も見られた。
この調査結果は、現代の若手社員がキャリアプランやワークライフバランスを重視する傾向が強く、転勤が彼らの退職意向に大きく影響を与える要因となっている現状を浮き彫りにしている。
参照元:
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbdcaab700a64fad8ee390975c19e37f0f26d298