「石破降ろし」の逆風下で支持率回復か?石破首相、政局の粘り腰

先月の参議院選挙において、自公連立与党が「非改選議席を含めて過半数」とする勝敗ラインに3議席及ばず、石破茂首相は激しい「石破降ろし」の逆風に晒されています。昨年の衆議院選挙、今年の東京都議会議員選挙に続く主要選挙での敗北を受け、参議院選挙直後には党内で「スリーアウトチェンジ」の声が広がるなど、首相の責任を問う声が高まりました。7月28日に開催された自民党の両院議員懇談会では、当初の予定を2時間半も超過し、厳しい意見が多数交わされました。8月8日には再び両院議員総会が開かれ、石破首相の進退がさらに焦点となる見込みでしたが、ここに来て政局の様相が変わりつつあります。

政局の焦点:厳しさ増す党内情勢と責任論

参議院選挙での苦戦は、石破首相の政権運営に対する党内の不満を増幅させました。特に、三度目の主要選挙での敗北は、首相のリーダーシップに対する疑問を強め、「スリーアウトチェンジ」という厳しい言葉が飛び交う状況を生み出しました。これまでの議論は、石破首相がどのように責任を取り、今後の政権を立て直すのか、あるいは誰がその役割を担うのかという点に集中していました。7月末に開かれた両院議員懇談会は、まさにその党内の危機感を象徴する場となり、首相への直接的な批判も辞さない雰囲気が支配的でした。8月の両院議員総会は、この責任追及がさらに本格化すると見られていました。

意外な回復:内閣支持率の動向

このような厳しい党内情勢とは対照的に、一部の世論調査では石破内閣の支持率に回復の兆しが見え始めています。8月2日と3日に実施されたJNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)の世論調査によると、内閣支持率は36.8%となり、前月比で4ポイント増加しました。不支持率は60.5%と依然として6割台を維持しているものの、前月比で3.1ポイント減少しており、回復傾向にあると見て取れます。

「石破降ろし」の逆風下で支持率回復か?石破首相、政局の粘り腰

毎日新聞が7月26日と27日に行った調査でも、内閣支持率は29%と前月比で5ポイント増加し、不支持率は59%と2ポイント減少しました。さらに、「次の首相にふさわしい人物」を問う質問では、石破首相が20%でトップに立ちました。自民党支持層の70%、公明党支持層の40%が石破首相を支持しており、野党支持層においても立憲民主党で35%、日本維新の会や共産党では約3割が石破首相を支持するなど、幅広い層からの支持が見受けられます。

辞任論と継続論:世論の複雑な様相

一方で、石破首相の「辞任」の是非を問う世論調査では、複雑な結果が出ています。毎日新聞の調査では「石破首相は辞任すべき」が42%で、「辞任する必要はない」の33%を上回りました。同時期に行われたANN(オールニッポン・ニュースネットワーク)の世論調査でも「辞任すべき」が46%に対し「辞任する必要はない」が42%、FNN(フジニュースネットワーク)の世論調査でも「辞任すべき」が47.7%に対し「辞任する必要はない」が44.2%と、いずれも辞任論がやや優勢でした。

しかし、朝日新聞の世論調査では「石破首相は辞任すべき」が41%に対して「辞任する必要はない」が47%と、辞任の必要はないとする意見が上回る結果となりました。前述のJNNの調査でも、「辞任すべき」が43%だったのに対し「辞任する必要はない」が47%と、同様に継続を望む声が上回っています。これらの調査結果の差異は、世論が依然として流動的であり、石破首相の政権に対する評価が必ずしも一方向ではないことを示唆しています。厳しい「石破降ろし」の動きの中にあっても、首相が「意外な粘り腰」を見せている背景には、このような世論の複雑な動向があると言えるでしょう。

結論

石破茂首相は参議院選挙の敗北を受け、党内からの厳しい責任追及に直面していますが、最新の世論調査からは内閣支持率の回復傾向や、「辞任する必要はない」という声が一定数存在することが明らかになりました。特に、JNNや朝日新聞の調査では辞任を求める声よりも継続を望む声が上回っており、首相の「粘り腰」の根拠となっています。今後の政局は、8月8日の両院議員総会での議論の行方や、世論のさらなる動向によって大きく左右されると予想されます。この複雑な状況下で、石破首相がどのようにリーダーシップを発揮し、厳しい局面を乗り越えていくのか、国内外から注目が集まっています。

参考文献

  • JNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)各社世論調査報道
  • 毎日新聞 各社世論調査報道
  • ANN(オールニッポン・ニュースネットワーク)各社世論調査報道
  • FNN(フジニュースネットワーク)各社世論調査報道
  • 朝日新聞 各社世論調査報道